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2016年の為替相場はどうなる? – その1 –

【著者】

2015年も残りわずかとなった。とはいえ、為替相場には今あることの延長線上に2016年の相場があるだけだ。それで、先の相場のことを語るには、今あることのうち、為替相場にとって重要だと思われることに焦点を当てることになる。為替相場に影響を与えそうな順番に列挙する。

1、米利上げ観測
2、日欧などの追加緩和観測
3、中国、変動相場制への道
4、商品市場
5、世界貿易の縮小
6、信用リスク・プレミアムの拡大
7、地政学的リスク

我々の生活や、景気などに対する重要度でなく、為替レートを動かす順番で考えてみた。もっとも、個人的に考えた単なる順番なので、深い意味はない。1つずつ解説しよう。

1:米利上げでドル高へ

今週、米連銀は利上げを行う見通しだ。私自身は米国内の要因は随分前から利上げOKとなっており、中国経済、原油動向などの外部要因は必ずしも短期的な要因ではないので、ここで見送ることは利上げ時期を逸することになると見ている。

参照:米12月の利上げは不可避?
https://fx.minkabu.jp/hikaku/fxbeginner/december-rate-hike/

利上げは通貨高を誘導する金融政策だ。双方の通貨にそれなりの流動性がある場合には、それなりの効果を発揮してきた。特にドル円は、米利上げによる日米金利差の拡大が、ドル高円安につながる可能性が高い。

2:日欧などの追加緩和で、円安、ユーロ安に

通貨安による景気拡大を期待する日本やユーロ圏の金融政策当局は、追加緩和の可能性を明言している。両方共に緩和すると、規模の大小や時期のズレに反応することになる。円対ユーロでは、基本的には、規模が大きいとより安く、早く動けば先に安くなる。

米が利上げ、日欧が利下げで、ドル高、円安、ユーロ安が流れだといえる。

3:中国が変動相場制を導入し、為替相場が活発化する

国際金融のトリレンマというものがあり、他国との自由な資金移動と、固定通貨と、独自の金融政策の3つは、同時には存在できないとされている。

例えば、日本を含む多くの国々は、自由な資金移動と各国独自の金融政策を確保するために、通貨の固定相場制を放棄した。

ユーロも同様で、ユーロ圏と域外とは、自由な資金移動と欧州中銀独自の金融政策を確保するために、固定相場制を放棄、ユーロ円、ユーロドル、ユーロポンドなどの自由な変動を許容している。

ユーロの場合は一方で、ユーロ圏内では、ユーロという単一通貨と、自由な資金移動を維持するために、各国独自の金融政策を放棄した。

中国は、自由な資金移動と中国独自の金融政策を確保するために、通貨の固定相場制を放棄しようとしている。2015年は海外での元建て債券の発行を行い、IMFのSDR構成通貨になることが決まるなど、通貨管理と固定相場制の放棄に向けて進んでいる。

変動相場制になると強烈な元安になるとの観測があるが、そうなるとは限らない。何故なら、通貨の長期トレンドに大きな影響を持つ貿易収支が黒字だからだ。また、短中期に大きな影響を持つ金利差では元金利は高く、貿易黒字と共に元高要因だからだ。

参照:外貨預金金利一覧
http://moneykit.net/visitor/rate/fd_cnh.html

中国人観光客が世界中を闊歩し、企業、不動産から日用雑貨までを爆買いしているのは元安要因なので、変動相場制導入の下地ができていると見ていいかもしれない。

続き:2016年の為替相場はどうなる? – その2 –

【みんかぶマガジン】矢口氏のコラム
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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。