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【今週の見どころ】米国、中国経済指標、G20等

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先週からの流れ

先週は円の強さが目立つ週となり、ドル円は107円台まで押し込まれる動きとなりました。前週のイエレン議長の講演などから強まったドル売りが続いたことに加え、テクニカル面でもレンジを抜け出したことで、売りが入りやすい状況となりました。
また、安倍首相が介入には慎重な姿勢である旨が報じられたり、原油価格が序盤から軟調な推移となったことも円買いを進める材料となりました。

FOMC議事録では利上げを主張した参加者がいたことが確認されたものの、全体的には市場の想定通り、ハト派的な内容となり、ドル買い戻しの材料とはなりませんでした。その他、ISM非製造業景況指数も改善し、底堅さを見せたものの、ドル買いは限定的なものとなっています。

ユーロは弱いドルに押し上げられるような動きとなる場面もあったものの、ECB関係者の追加緩和の可能性が示されたことなどから上値が圧迫され、方向感の薄い推移が続いています。
ポンドもEU離脱の国民投票を控えていることや序盤の原油価格の下落などの影響もあり、上値の重い推移となっています。また、前週は底堅い推移となった豪ドルやNZドルは調整が入り、上値の重い推移となっています。

主要通貨の強弱

米国経済指標

今週は米国時間に小売売上、消費者物価指数、鉱工業生産などの重要な経済指標の発表が予定されています。小売売上は今年に入り、冴えない結果が続いており、今回も弱い結果となってしまうと13月期のGDPへの不安が増大し、ドルの上値圧迫材料となることが想定されます。
消費者物価指数は直近では底堅さを見せはじめており、底堅い結果が続くようであれば、ドルの下支え材料となることが想定されますが、伸び悩む結果となるとイエレン議長を始めとするハト派メンバーが主張する、インフレ率上昇の持続性がない可能性が意識され、ドルの上値圧迫材料となる可能性が挙げられます。

中国GDP、貿易収支、鉱工業生産等

今週は中国にてGDP、貿易収支、鉱工業生産などの重要経済指標の発表が予定されています。冴えない結果が続くようであれば、市場が再び中国の景気減速を意識し始め、市場全体のリスク回避色が強い状態となる可能性がある反面で、可能性は低めですが、底堅い結果となると、中国景気減速懸念は後退し、市場のリスク許容度を下支えというシナリオも考えられます。

G20

週末にかけてはG20が予定されています。注目は引き続き、通貨安競争を回避する旨の内容となるかどうか、そして、本邦の介入や追加緩和を間接的に牽制するような内容となるかどうかとなりそうです。仮に、現在の円高を阻止するような手段を牽制するような内容となると円買いがさらに進む可能性も挙げられる反面で、過度な為替変動を阻止することへの理解が得られるような内容となると円売りで反応するというシナリオも考えられます。
いずれにせよ、結果次第でドル円を動かす材料となる可能性があるため、注意が必要です。

先週の注目通貨ペアのその後

カナダ円はドル円の下落、序盤に原油価格が軟調な推移となり、81円台中盤まで下落が進む展開となりましたが、終盤にかけては原油価格の反発により、カナダドル買いが強まり、下落にブレーキがかかり、83円台まで戻す動きとなりました。

今週は来週に原油の増産凍結合意に向けた会合が予定されていることもあり、神経質な動きとなることが予想されるほか、ドル円も先週大きく下げており、多少の調整が入る可能性があることを考えると読み難い動きとなることが想定されます。また、週足チャートを見ると長めな下ヒゲを残しているのも、下落にブレーキがかかりそうな気配を強めています。

カナダ円

今週の注目通貨ペア

今週の注目通貨ペアは新興国通貨/円です。今日はトルコリラ/円、南アフリカランド/円について見ていきたいと思います。

ドル円の下落により、クロス円全般は上値の重い推移を続けています。
対新興国通貨でも円は上昇する動きとなっており、現在、チャートの節目が近づいてきています。

また、米国の利上げ観測が後退したため、新興国通貨は対米ドルで反発基調が強まっていましたが、その動きも先週は落ち着き、再度対ドルで売られる動きとなっています。

そして、今週もドル円が上値の重い状態を維持し、新興国通貨が対ドルで軟調な推移となると、新興国通貨VS円の通貨ペアのさらなる下落というシナリオを描くことができそうです。

それでは、それぞれのチャートを見ていきたいと思います。

まずはトルコ円の日足チャートですが、昨年11月から、高値を切り下げる動きが続き、上値の重さが意識される状況のなかで、37.60付近が年初からのサポートとして、下落を食い止めている状態となっています。そして、先週はその37.60にタッチするところまで押し込まれる動きとなったものの、その水準では底堅い動きとなり、下落を食い止める動きとなりました。急降下となっているため、多少の反発の可能性はあると考えられますが、今回は同水準に対して3度目のトライとなっており、割り込むと金利目当ての参加者のストップ売りを絡め、下落が勢い付きそうな形となっています。

トルコ円

続いて南アフリカランドの日足チャートですが、上値は7.7付近で押さえられる動きが続いているものの、安値をジリジリと切り上げる動きとなっており、保ち合いのような状況が続いています。現在、安値を結んだトレンドラインがサポートラインとなり、下げ止まる動きがとなっています。
これまで4回以上サポートとなっているこのラインを下抜ける、あるいはキリの良い7.00付近がサポートとなっていると見ることもできるため、7.00を割り込むような動きとなった場合には均衡が崩れ、下落が勢い付く可能性が高まると考えられます。

南アフリカランド円

いずれの通貨も、現状はサポートライン付近におり、この水準で踏ん張る動きとなると、上昇に転じる可能性も十分にあるため、しっかりと終値ベースでサポートが割れるのを確認したいところです。

OANDA Japan   オアンダ ジャパン<本記事ご協力>
OANDA Japan株式会社
チーフストラテジスト 佐藤甲様
佐藤甲|OANDAJapan チーフストラテジスト

佐藤 甲

OANDAJapan㈱チーフストラテジスト。 NY時間を中心にディーリング業務を担当し、2012年より現職。ファンダメンタル、テクニカル、時にはシックスセンスを駆使し相場を斬る。夢と希望と情熱あふれる熱血相場師!風貌はラテン系だが、異性には奥手。日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト