FXコラム

経常赤字の何が悪い? その3

【著者】

外国為替市場コラム|2014/03/27

「経常赤字の何が悪い? その2」
https://fx.minkabu.jp/hikaku/fxbeginner/current-account-deficit-bad-part-2/

2013年通年の経常収支は3兆3061億円の黒字。貿易収支は12兆2349億円の赤字だが、所得収支が15兆5410億円の黒字で、差し引きでは経常黒字となった。

ここでの貿易収支とは、貿易・サービス収支の意味で、内訳はモノの輸出入である貿易収支が8兆7456億円の赤字、サービス収支が3兆4893億円の赤字となっている。

財務省は国際収支統計の項目や表記方法を2014年1月分から見直した。従来の投資収支と外貨準備増減を統合し「金融収支」に、その他資本収支を「資本移転等収支」に改めた。以前の所得収支は「第1次所得収支」、経常移転収支は「第2次所得収支」とした。

ここで、改定された表記方法をもとに、円高要因、円安要因とに分類すると、円高要因は経常黒字だけで、内訳では「第1次所得収支」の大幅黒字だけとなる。

一方の円安要因は、金額は僅かだが「資本移転等収支」と、「金融収支(投資収支+外貨準備増減)」に加え、経常収支を構成する「貿易・サービス収支」と、金額は小さいが「第2次所得収支」となっている。

参照図:
経常赤字

日本は1980年代の初めから、その大きさが問題となるほどの貿易黒字国だった。貿易黒字というのは、単に輸入に比べて輸出が超過しているという意味で、黒字のイメージからくる収益とは必ずしも関係がない。円高でコスト割れなのに輸出すれば経常赤字となり、その結果、ついには身売りや破綻となった輸出企業でも、輸出超を通じて貿易黒字には貢献したのだ。

貿易黒字の真の意味は輸出超なので、貿易に関する円売り・外貨買いよりも、外貨売り・円買いが多いことを示している。
つまり、長期にわたる円高要因なのだ。2011年から日本の貿易収支は赤字となった。これが赤字に転換、つまり輸入超になったことの意味は大きい。

参照図:
Current-account deficit

矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。