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ECB追加緩和の余波

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外国為替マーケット情報|2014/06/09

金曜日は米国雇用統計の発表されました。結果は非農業部門雇用者数変化がほぼ市場予想通りの21.7万人増加となり、失業率は市場予想に反し横ばいの6.3%を維持となったほか、平均時給が若干の上昇、平均労働時間は横ばいと全体を通して底堅い結果となりました。また、経済的理由によりパートタイムを余儀なくされている労働者も若干低下し、それらを失業者として計算した広義の失業率も低下と労働市場のスラック解消へ向けた改善も徐々に進んでいることが確認できる内容となりました。
市場の反応はECBの緩和モードと併せリスクオンの展開となったものの、ECBの緩和マネーが債券市場に流れ込みユーロ圏の国債利回りを押し下げていることから、その余波が米国債にも波及し、米国債利回りを押し下げたことからドル円は上値を押さえられる動きとなっています。リスクオンによる円売りと米国債利回り低下によるドル売りに挟まれているといった状況で今後もECBの緩和マネーの向かう先に大きな影響を受けると思われます。
週末に発表となった中国の貿易収支では輸出が拡大したものの輸入は減少となり全体を通しては黒字拡大となりました。輸入が減少したことから内需の弱さが意識されるものの同時に景気刺激策への期待も生まれ、相場への影響は限定的なものにとどまり現在のリスクオン状態にブレーキをかけるには至らなそうです。
本日発表された本邦の国際収支では市場予想を上回る貿易赤字額となり経常収支を圧迫していることが確認され、引き続き円売り材料の一つとして意識されそうです。また同時に発表された第1四半期のGDPは上方修正され駆け込み需要の強さが再認識されるものとなりましたが市場の反応は限定的なものにとどまっています。

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ドル円は雇用統計後は米国債利回りの急落に足を引っ張られ下値を探る動きになりましたが、102.10近辺をサポートに底堅い推移をみせ、再び難所の102円台後半へとジリジリと上昇となっています。この難所をしっかりと抜け103円台を回復できると更なる上昇の余地が生まれると考えられます。

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ユーロドルは方向感の薄い推移が続いています。ECB理事会後の下落から大きく反発したものの、その後は上値の重い推移となっています。日足チャートでは木曜日に長い下ひげをつけていることからもう少し反発が続く可能性も考えられますが、ダブルトップのネックラインを割りこんでの推移からネックラインを未だ回復できていないところをみると上昇基調もそれほど強いともいえない状況と思われもう少し様子を見たいところです。

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ユーロ円は強力なサポートであった140.00がレジスタンスとなっていたものの今朝に一度上抜け、現在はその140.00を挟んでの攻防を続けています。しっかりと140.00を上抜けると142円近辺までの上昇余地が生まれると考えられます。逆にトライ失敗となると138円台への下落余地も生まれる状況となりもう少し経過を見守りたいところです。

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ポンドは雇用統計前に上値を伸ばした後、雇用統計を受けて下落となりましたがその後は底堅さをみせ発表前の水準まで戻す動きとなりました。全体としては方向感のない展開での推移となっています。日足チャートでもトレンドラインを割り込んだものの再度トレンドライン上に復帰するものの上値を追えず方向感の薄い状況が続いています。

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豪ドルは下降トレンドラインの上抜けへのトライへ向かっていましたが雇用統計後に失速となり、保ち合い脱出は未遂に終わりました。しっかりと0.94を上抜け保ち合い脱出となるともう一段の上昇余地が生まれると思われます。

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【本日の注目材料】

本日は大きな材料がないことから、雇用統計、ECB理事会の余波を確認する一日となりそうです。大きなイベントをこなしたものの終わってみれば発表前と大きく変わっていない通貨が多いことから、今週は方向感を見極める一週間となると思われ、引き続き難しい展開が続くと思われます。
また、主要中央銀行で初となるECBのマイナス金利導入の影響を見極めるためにも為替相場のみならず、債券市場、株式市場の動向もしっかりとチェックしたいところです。ユーロ圏の国債利回りの低下はどこまで続くのか?米国債利回りへの余波は続くのかどうかは特に注目したいところです。

【本日の予定】

オーストラリア休場
08:50 日4月国際収支
08:50 日1-3月期GDP(2次速報値)
15:00 日5月景気ウォッチャー調査
21:15 加5月住宅着工件数
22:10 ブラード米セントルイス連銀総裁(投票権なし)講演
翌1:00 スティーブンスRBA総裁講演
翌2:30 ローゼングレン米ボストン連銀総裁(投票権なし)講演

OANDA Japan   オアンダ ジャパン<本記事ご協力>
OANDA Japan株式会社
チーフストラテジスト 佐藤甲様

佐藤甲|OANDAJapan チーフストラテジスト

佐藤 甲

OANDAJapan㈱チーフストラテジスト。 NY時間を中心にディーリング業務を担当し、2012年より現職。ファンダメンタル、テクニカル、時にはシックスセンスを駆使し相場を斬る。夢と希望と情熱あふれる熱血相場師!風貌はラテン系だが、異性には奥手。日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト