ギリシャ支援は合意はしたものの

【著者】

ギリシャ国内の不安定要素は残る

もう皆さんご存知のように、(東京時間)昨日の夕方にEUの首脳らは条件付きでギリシャに対する第3次支援を開始することを全会一致で決定しました。ギリシャは総額820~860億ユーロに及ぶ大規模なESMによる支援を中心とした第3次支援を受ける条件として、次のような一連の措置を求められています。

まず15日までに一連の緊縮策を議会で可決する
1. VAT(付加価値税)の簡素化と課税範囲の広範化
2. 年金の減額
3. 独立した財政審議会の始動と、財政目標未達成時の自動的な歳出削減の
  仕組み

さらに数週間以内に
1. 大胆な年金改革
2. 製品市場の改革
3. 送電事業者の民営化
4. 団体交渉、ストライキ、集団解雇の近代化
5. 不良資産対応、政治的介入阻止など金融セクターの強化
などの改革の明確なスケジュールの策定

この他に、ギリシャの民営化や国有財産のうち価値の高い資産を移管して500億ユーロ規模の独立した資産管理ファンドを設立することを求められています。このファンドの資産は新たな融資の返済の原資となるとともに、銀行の資産増強、債務の削減などに当てられます。この他にも様々は条件が課せられているうえ、いずれもかなりタイトなスケジュールを要求されています。

チプラス政権は、国民投票の結果と矛盾する形で支援国側に大幅い歩み寄った形で合意をしました。当面野党議員の支持を得てこれらのハードルを越えて行く可能性が高いのですが、反緊縮を掲げて誕生した連立与党の一部の議員や、国民の理解を得ることは非常に難しいと予想されます。そういった反対の声がギリシャ国内で高まった場合、連立組み替え、チプラス首相辞任、総選挙などの政治的イベントのリスクが高まり、事態が不安定化する可能性が残っています。

当面はギリシャ問題の相対的な鎮静化によって、市場参加者の関心がもともとのFOMCによる利上げ開始時期とその後の利上げペースに戻ると考えられます。したがって明日のイエレンFRB議長による議会証言や米経済指標結果を受けた米長期金利動向が為替市場の最重要テーマになると予想できます。

<本記事ご協力>
チーフストラテジスト 高野やすのり様

高野やすのり|FXプライムbyGMO

高野 やすのり

慶應義塾大学商学部卒 チェース・マンハッタン、スイス・ユニオン、ファースト・シカゴなどでインターバンクディーラー業務に従事。 株式会社FXプライムbyGMO チーフストラテジストとして、長年培ってきた経験を生かし、インターネット上のコンテンツや、ラジオ、セミナーを通じて正しいFXの知識や、FXの魅力を広める為の活動を行う。 NPO法人日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト