米利上げと、中国株、ギリシャ情勢のリスク -上-

先週、米FOMC政策金利を0.25%に据え置いた。利上げ時期については明確な示唆がなかったものの、9月開始の余地を残した。雇用市場の伸び、住宅市況の回復が確かだとした。前回の声明にあった「いくらか」という文言を削除して、変化を表現した。インフレ率については中期的に2%の目標に戻っていくと合理的に確信していると表明した。

米雇用市場は、失業率でみると、2009年10月の10.0%から、2015年6月には5.3%にまで低下している。失業保険継続受給者数は2009年3月の645万2000人から、2015年6月には219万6000人と、約3分の1にまで減少、2000年11月以来の低水準となった。

また、米6月の州別雇用統計では、31州で雇用者数が前月比で増加し、21州で失業率が低下した。雇用者数が最も増えたのはニューヨーク州で2万5500人増。次いでカリフォルニア州で2万3000人増だった。失業率が最も低かったのはネブラスカ州で2.6%。最も高かったのはウェストバージニア州で7.4%だった。

米住宅市場の9割以上を占める中古住宅販売件数は6月、前月比3.2%増の年率549万件と、2007年2月以来の高水準だった。中古住宅価格中央値は前年比+6.5%の23万6400ドルと、インフレ調整前で過去最高となった。中古住宅在庫は230万戸。販売に対する在庫比率は5カ月と、前月の5.1カ月から縮小した。

新築1戸建て住宅販売の方は6月、前月比6.8%減、前年比18.1%増の、年率換算48万2000戸だった。

米第2四半期の持ち家比率は63.4%と、前四半期の63.7%から低下、1967年以来の最低となった。また、第2四半期の賃貸住宅の空室率は6.8%と前四半期の7.1%、前年同期の7.5%から低下し、1980年代以降で最も低い水準となった。サブプライムショック以降、持ち家から賃貸住宅へのトレンドが続いているものの、上記のように住宅販売もバブル崩壊前の水準に戻っており、雇用市場と共に明らかな改善がみられている。

一方でFOMCは、企業の設備投資と純輸出は軟調な状態が続いたと分析、前回声明にあった「エネルギー価格は安定したように見受けられる」との表現を削除した。

企業の設備投資と純輸出が軟調なのは、ドル高と、中国景気の鈍化が主要因だと見ていていいだろう。また、エネルギー価格については、再び原油安に注視する局面となったことを示している。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。