米利上げと、中国株、ギリシャ情勢のリスク -中-

米連銀の金融政策は、完全雇用に向けた雇用市場の安定と、インフレ率の安定とが2大目標だとされている。

雇用市場は改善してきているが、気になるのが、6月の雇用統計で、労働参加率が62.6%と、5月の62.9%から大幅に低下、1977年10月以来の低水準となったことだ。また、平均時給が前月比フラット、前年比+2.0%の24.95ドルと、伸び悩んでいることだ。金曜日に発表された第2四半期の雇用コスト指数でみても、前期比0.2%増と、第1四半期の0.7%増から大幅に鈍化、1982年の調査開始以来で最低の伸びとなった。つまり、雇用の量は大きく改善しつつあるものの、雇用の質はまだまだ改善の余地があるといえる。

インフレ率では、6月の消費者物価指数は前月比+0.3%、前年比+0.1%だった。コア指数は前月比+0.2%、前年比+1.8%だった。米国の消費者物価コア指数は、日本の消費者物価指数のコアコア指数、つまり、食糧価格とエネルギー価格とを除いたものだ。米連銀のインフレ目標は年率2%内外だとされているので、消費者物価コア指数でみると、ほぼ目標に達している。

先週には第2四半期のGDP速報値も発表された。成長率は前期比年率2.3%増だったが、より重要なのは前期が0.2%減から0.6%増に上方修正されたことだ。これまで、第1四半期の落ち込みは、寒波による一時的なものとされていたが、そもそも落ち込みの程度も、減速しただけだったことになる。第2四半期の成長率の加速は、輸出の回復、輸入の減少、個人消費の加速、政府支出の拡大によるものとされている。

名目GDPから実質GDPを計算するためのインフレ率をみる、第2四半期のGDP価格指数は前期比+1.4%だった。第1四半期の前期比-1.6%から大幅に上昇した。食糧価格とエネルギー価格を除いたコア指数はそれぞれ前期比+1.1%、前期比+0.2%だった。これは半年で1.3%ほど上昇したことを意味するので、ここでも米連銀のインフレ目標に達している。

昨日3日には、個人消費の数値が発表され、名目と実質の差となるものに使われたPCEデフレーターも発表された。米連銀が注視しているPCEデフレーター・コア指数は、前月比+0.1%、前年比+1.3%だった。他の指数に比べると低いが、もはやデフレ環境にはない。米国内の事情だけをみれば、FFレートの誘導目標が0%~0.25%と、緊急事態の継続を表す、ほぼゼロ金利政策を採り続けることの正当化が難しくなってきたかと思う。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。