アジアインフラ投資銀行の創設メンバー、57カ国

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甘利明経済再生相は15日、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーが57カ国になったことについて、アジア開発銀行(ADB)の67カ国・地域と比較して「そこそこの規模だと思う」との認識を示した。

日本は米国とともに参加を見送ったが、甘利担当相は「日本のスタンスは一貫して変わってない」としたうえで、「公正なガバナンスと債務の持続可能性(審査体制)の2点がクリアになれば、当然、スタンスは変わってくる」と語った。

一方、米財務省高官は15日、AIIBが世銀など既存機関が築き上げてきた基準を採用すれば、米国はAIIBが推進する案件で中国と直接的な連携が可能との考えを示した。AIIBと既存機関との共同融資が可能になるほか、「米国も同様に、中国と2国間的なやり方で取り組む」ことができるとした。

AIIBに参加しなかったのはG7諸国では日米だけ。先進国参加の口火を切った形の英国のフィナンシャルタイムズ紙は、世銀やIMFの融資基準は汚れているとまで言い切り、参加することでこそルールづくりへの発言権が得られるとした。

参照:[FT]中国主導のインフラ銀行を拒絶する愚
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO84833360V20C15A3000000/

アジア諸国での不参加は、中国が国家として認めていない台湾と、金融市場が不備だとして拒絶された北朝鮮と、日本だけだった。

この状況で日本が「中国と2国間的なやり方で取り組む」ことは考え難く、仮に米国が「中国と2国間的なやり方で取り組む」ようなことがあると、日本はアジアだけでなく、G7でも孤立する。

関連:アジアで孤立する日本
http://money.minkabu.jp/49618

もっとも軍事面や経済援助、技術協力など、日本との関係を維持したい国々は多いので、本当に孤立することはないかと思う。だが、今回の件で判明したのは、世界で最も中国に対して不信感を持ち、厳しいのが日本だったということだ。

正論や本音がどこにあれ、そういったことを中国に悟られ、そして世界中に知らしめて、その面子を潰したことで、地政学的リスク、経済協力、文化交流、外交的に大きな課題を残すこととなった。関係修復のための絶好の機会を逃し、日本政府の真の狙いがどこにあるかさえ不明にする判断だったように思えてならない。

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矢口 新

独自テクニカルで『相場のタイミングを捉える』 矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。