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原油市場は体力勝負の様相

【著者】

OPECが27日の総会で減産を決定しなかったことを受け、北海ブレント原油先物が一時、1バレル71.25ドルと、前日から6ドルを超えて下落、1日の下落幅としては2011年以来最大となった。米WTIは一時、1バレル67.75ドルと2010年5月以来の安値を更新した。

OPECでは、サウジアラビアが生産調整を行うスウィング・プロデューサーの役割を担っている。OPEC諸国中生産量2位のUAEの3倍を超える量を生産しているので、減産の余地が大きく、また増産余力も大きいからだ。

今回の総会では、原油価格下落に苦しむベネズエラなどからの減産要請に対し、最も産油コストが低い国の1つであるサウジアラビアが現状維持を貫いた。ベネズエラは減産すると原油収入が更に減るので、自身ではなかなか減産に踏み切れず、サウジ頼みとなっていた。

OPECの盟主として、サウジアラビアの対応は冷たいようにも思えるが、サウジアラビアが減産しても、原油価格の下落は止まりそうにない現実がある。現状のOPEC12カ国の生産量は日量3000万バレルだが、非加盟国、ロシア、米国、中国、カナダ、メキシコの5カ国を合わせたものよりも少ないからだ。そして、この5カ国のどれもが増産基調なのだ。

1日あたりの原油の生産量の多い国:
(経済産業省;資源エネルギー統計2013より算出)
順位 国名 生産量(バレル)
1 サウジアラビア 1,152.5万
2 ロシア 1,078.8万
3 アメリカ合衆国(米国) 1,000.3万
4 中華人民共和国(中国) 418万
5 カナダ 394.8万
6 アラブ首長国連邦(UAE) 364.6万
7 イラン 355.8万
8 イラク 314.1万
9 クウェート 312.6万
10 メキシコ 287.5万

参照:1日あたりの原油の生産量の多い国
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/ranking/crude_much.html

OPEC非加盟国の増産基調を止めるには、原油価格の下落が最も効果的だ。とはいえ、人件費が最も高い米国ですら、シェール原油は60ドル以下でも維持できるとの観測があり、体力勝負の様相を強めている。

日本経済に対する影響では、インフレ目標を定めている日銀は、原油価格の下落をリスク要因としている。しかし、国内のガソリン価格下落が表しているように、一般的には円安のデメリットを相殺して、生産、電気代、消費などにプラスとなっている。ちなみに、日本の原油生産量は、日量1.2万バレルのようだ。

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