ほぼすべての資産は割高?

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FXコラム|2014/04/30

英文メディアで、「Almost every asset is overvalued(ほぼすべての資産が買われ過ぎ)」などという記事が、先週あたりから目につくようになった。米株では小型株のPER(株価収益率)が高く、ヘッジファンドの空売りが2004年来の規模に積み上がってきているという。

PER(株価収益率)とは、予想される企業収益に対しての株価を表し、高いということは、株価が実体以上に買われ過ぎで、割高となっていることを意味する。

こういう記事に対して、私などは「当たり前だ」と読み過ごしていたが、何度も目にするので、なぜ「当たり前」なのかを説明する必要があるかと思い直した。

何度も繰り返しているが、米国の資金供給量はこの5年間で4倍以上になっている。

参照図:米連銀総資産の推移(2007年8月~2014年4月)
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モノやサービス、あるいは株価などの資産価値(value)は、日本の場合では日本円で、米国や、国際基準では米ドルで測る。モノやサービスの供給が需要以上に増えれば、円やドルでの値段が下がるのだ。

通貨(米ドル)でも、モノやサービスと同様、需要より供給が勝れば下落する。この時、通貨の価値の物差しは、他の通貨や、すべてのモノやサービス、資産価値となる。通貨供給量が4倍ともなれば、通貨の値下がりは避けられない。そして、通貨の値下がりは、他の通貨や、すべてのモノやサービス、資産価値の値上がりとなって見える。見えると書いたが、valueとは、そう見えたもののことだ。「Almost every asset is overvalued」は当たり前のことで、警戒したり、空売りするには当たらない。

PER(株価収益率)の割高、割安との判断は、過去との比較や、同業種、異業種など、相対比較による。通常は価値の大元となる通貨供給との比較はなされない。ここが落とし穴となっているのだ。

米国の通貨供給量は未曾有と呼ばれているものだ(日本は異次元)。つまり、過去との比較を否定している。今年のヘッジファンドの運用成績はリーマンショック以来の最悪だと言われているが、この程度の発想ではそんなものかと思う。

[GMO]

矢口 新

独自テクニカルで『相場のタイミングを捉える』 矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。