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世界貿易が減速、バルチック海運指数が過去最低に

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バルチック海運指数(BDI、1985年=1000)が1月13日、1985年の集計開始以来初めて400を割り込んだ。2014年の初めには2000を大幅に上回っており、2010年には4000前後だった。

バルチック海運指数

2008年以前の10年間で世界貿易は平均で年率7%拡大し、その伸び率は世界全体のGDP成長率を上回っていた。世界の貿易の拡大ペースはここ数年急激に鈍っており、年3%前後になっている。これでは、世界全体のGDP成長率とほとんど変わらない。おまけに、この減速傾向は今も続いている。

参照:原油安より劇的 海運でみるグローバル化の停滞

以前に、メディアや識者が中国の輸出減少だけを大きく取り上げるのは、誤解を生むと述べた。事実は、貿易大国である日米中独のいずれもが輸出減少しているだけでなく、輸入も減少している。むしろ輸入の減少の方が大きく、貿易黒字が拡大、あるいは赤字が縮小している。

ある国が、輸出入共に減少している時、基本的には輸入減の方が問題だ。その国の購買力が低下していると考えられるからだ。輸出減は、通貨高を除けば急に輸出競争力が減退するというより、輸出先の状況をより大きく反映するからだ。

最近になって、貿易額の減少が取り上げられるようになってきた。これはモノの値段が下がっていることに加え、現地生産の拡大が大きな要因だと見ているが、もっと気になることがある。2011年以降、世界各国の旅行収支が縮小していることだ。

参照:世界各国の旅行収支

世界の海外旅行者数は過去20年にわたりほぼ一貫して伸び続けているので、使う金額が減っている。中国だけが問題なのではない。経済的には歓迎できる数値だとは言えないと思う。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。