FXコラム

試される日銀

【著者】

6月15日、米連銀が利上げを見送り、7月の利上げも明言しなかったことで、ドル円(USD/JPY)は2014年10月以来の安値を更新した。

参照:ドル円レート
ドル円週足

イエレン議長は、米雇用市場の先行きの安定を述べながらも、目先の懸念を表明した。また、英国のEU離脱(ブレグジット)などが与える世界経済への懸念も表明した。これで、米の早期利上げの可能性は著しく低下した。

米景気の拡大期は、戦後の平均4年10カ月をはるかに超え、7年目に入っている。その間に雇用市場は劇的に改善、売り手市場となり、一部で雇用者が労働者を確保できなくなっている。待遇などの内容はともかく、ほぼ完全雇用に近い状態となっているのだ。ここからの米雇用市場は、これまでのような劇的な成長は望めない。つまり、雇用統計のぶれに一喜一憂していると、いつまでも金融危機の時と基本的に同じ、緩和状態を続けることになってしまう。

また、ブレグジット懸念、世界経済への懸念を表明し続けるていることも間違いだ。仮にブレグジットが実現すれば、何年間かは世界経済が混乱することも予想される。なぜなら、英国が離脱問題で指摘していることは、英国の問題ではなく、欧州連合、ユーロの問題だからだ。欧州連合、ユーロは、もはや機能しているとは言い難いが、ブレグジットは、その崩壊を加速させかねないのだ。英国が残留しても、欧州連合、ユーロの問題は解決されず、その問題に英国が巻き込まれることだけを意味する。

ブレグジットの国民投票は来週、6月23日。最近の調査では離脱派が残留派を上回り、英最大の新聞、ザ・サン紙も離脱支持を表明した。この辺りの事情は、以下を参照して頂きたい。

参照:EU離脱まったなし。米シンクタンク調査にみる英国民投票の「理想と現実」

これらを理由に緩和政策を続けると、随所で手が付けられないほどのバブルが発生する。現状では、主要国の国債価格、一部の不動産、賃貸価格、美術品、贅沢品に顕著なバブルが見られている。

さて、為替レートだが、ドル円の長期トレンドは日本の貿易収支に大きな影響を受ける。これが、このところ黒字となり円買い需要が勝っている。

また、中期トレンドは日米金利差に大きな影響を受け、拡大が円安につながるが、米の利上げなしには実質的な拡大はない。円金利のマイナス幅が拡大しても、投資家がマイナス金利で調達できる見込みがほとんどないからだ。

つまり、現状での大きな円安圧力は、投機筋による円ロングポジションの売り戻し以外にほとんどない状態だ。あるいは、日銀による円売り介入期待だけだ。

一方で、日銀の量的緩和の弊害が目立ち始めている。国債の最大の保有者が日銀となり、ETF購入を通じては、日本企業の大株主になりつつある。また、ブルームバーグは、Jリートの購入で日銀が日本の大家さんとなり、「S&Pグローバル・マーケッツ・インテリジェンスによればJリート価格の純資産価値に対するかい離幅は6月8日時点でプラス62%と世界1高い」と報道した。また、マイナス金利政策、マイナス利回りでは、金利享受の資金運用市場が消滅した。

手詰まり感は日銀だけではない。主要国の中央銀行が金融政策を見失っている。ここにブレグジットの国民投票が約1週間後に来るので、金融市場の混乱は避けられない。

私は、投機筋はドル円の底値を試しに来ると思う。日銀が105円割れで円売り介入できなければ、さらに介入するレベルを探りに行くとも考えられる。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。