株下げ、円高でGPIFの買い余力拡大

GPIF2015年4―6月の運用益は2兆6489億円だった。利回りは1.92%だった。6月末の運用資産額は141兆1209億円と、自主運用を始めた2001年度以降で最大となった。

国内株式の運用益が1兆8657億円(利回り5.89%)、外国株式が6987億円(2.38%)、外国債券が1139億円(0.65%)だった。逆に、国内債券では505億円の損失(-0.10%)がでた。6月末の時点の保有資産割合は国内債券37.95%、国内株式23.39%、外国債券13.08%、外国株式22.32%となった。

推計では3月末に比べて国内債券を2兆0100億円程度減らす一方、国内株式を1400億円程度、外国債券を5400億円程度、外国株式を1兆3600億円程度、それぞれ買い増ししたもよう。
参照:平成27年度第1四半期運用状況
http://www.gpif.go.jp/operation/state/pdf/h27_q1.pdf

GPIF6月末の時点の保有資産は国内債券53兆5554億円(37.95%)、国内株式33兆0082億円(23.39%)、外国債券18兆4586億円(13.08%)、外国株式31兆4982億円(22.32%)となっている。

この保有資産比率を国内債券が35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%へと変更する。つまり、運用資産額が141兆1209億円のままだとすれば、国内債券を49兆3923億円に減らし、国内株式は35兆2802億円に、外国債券は21兆1681億円に、外国株式は35兆2802億円にそれぞれ増やすことになる。

GPIFの保有資産比率

一方、6月末の東証株価指数は1630.40円だった。先週8月28日の終値は1549.80円と、4.94%安い。米S&P500株指数は6月末が2063.11ドル、先週末は1988.87ドルで3.59%安い。ここで、ドル円は122.44円から121.57円と0.71%安となったので、米株は合わせて4.28%減となった。外国債券は値上がりしたが、外貨が値下がりしたので、相殺され、変動がなかったと仮定する。

外国株への投資が100%米株だったと仮定すれば、外貨資産は30兆1501億円となり、比率25%への買い余力が1兆3000億円余り増えたことになる。日本株では31兆3776億円と、1兆6000億円余り増えた。

下落時のピークを東証株価指数1410.94、S&P500株指数を25日終値の1867.61、ドル円レートを116円07銭とすると、日本株は一時、28兆5653億円、米株は27兆0286億円にまで減少したので、更に3兆円ずつほど買い余力が大幅に増していたことになる。

もっとも、日本株や外国株の資産がこの規模で減少すると、運用総資産もそれに応じて減少するので、こういった試算は成り立たない。そもそも、変動する株価、レートの一時点を取り上げることにも無理がある。

ここで私が指摘しておきたいのは、「株下げ、円高でGPIFの買い余力は拡大する」という点だ。下げれば下げるほど、買い余力は拡大するので、相場の下支え要因となる。

証券投資だけでなく、円投(円売りを伴う外貨投資)でのM&Aなどにとっても、同じように、円高局面は格好の外貨買いにつながった可能性が高いと見ている。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。