FXコラム

中央銀行発のデフレ?

【著者】

世界2014年時点の債務残高は2007年以降に60兆ドル増加、200兆ドルに迫っている。全世界の経済規模は77兆ドルだ。一方、世界の政府債務の総額は2016年2月22日の時点で59.66兆ドルだった。

ここまで債務残高が膨張したのは、言わずもがなだが、金融緩和によるイージーマネーのおかげだ。世界の中央銀行は利下げに加えて、未曽有の資金供給を行い、貸出しを促した。借り手は低利で借りたい放題だった。

ヘッジファンドはカネ余りで流入した資金に、更に低利でレバレッジをかけ、まずはコモディティを買い上げた。例えば、原油価格はサブプライムショック後の2008年に145ドル超にまで上昇した。石油会社は高価格で売れるため、生産設備を増強するための資金を低利でふんだんに調達した。そして、需要をはるかに上回る過剰設備、過剰生産により、価格は急落、原油生産は採算が合わなくなった。

同じことは、他の商品、資源国に対しても起きた。イージーマネーが需給バランスを崩し、供給過多によるデフレを招いている。商品は生産程には売れなくなり、資金は商品や資源国から逆流し始めた。行き場のない大量の資金が金融市場を右往左往させている。

市場の次の最も大きな懸念は、商品生産者や資源国の過剰債務で、今後、債務不履行が多発すると見られている。24日には、ムーディーズがブラジルの格付けをBaa3から、Ba2に2段階引き下げ、格付け見通しを「ネガティブ」とした。これにより主要格付け機関3社のブラジル格付けはすべて投機的等級となった。

その対応策がマイナス金利? まだ貸出しが足りない? これからの貸出しは、債務超過になった借り手への追い貸しでしかない。借り手はその資金で操業を続け、過剰生産を継続する。いつまでもデフレは終わらず、その対策として、金融緩和を継続するスパイラルだ。そして、銀行の債権は不良資産化する。

経済を牽引してきた資源国が落ち込み、モノが流れなくなって、世界貿易が縮小している。世界経済は変調をきたしている。私には、大きな政府を望む各国政府と、その計画経済的な政策による弊害に思えてならない。

【みんかぶマガジン】矢口氏のコラム
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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。