FXコラム

中国元に注目しておく時期がきた

【著者】

先週21日、中国人民銀行が予想外の利下げに踏み切った。市場では中国が通貨安戦争に参入したとの見方から、今年の人民元が、2005年の管理フロート制移行後で初めて、年間ベースで下落するとの観測が広がっている。

管理フロート制以前の人民元のレートは、対ドル8.2765近辺で固定(ドル・ペグ)されていた。2005年7月以降は2014年1月の6.0484まで、ほぼ一貫してドル安元高となってきた。

一方、同じようにドル安円高となってきたドル円は2011年10月に75円台まで下げたが、2012年11月に長期のトレンドラインを上抜けしてからは、118円台後半にまで、約57%ドル高円安に振れている。その結果、元の対円レートは2011年10月の11.9152から2014年11月20日の19.4183まで、63%近く元高円安となった。中国人の日本旅行や、日本での買い物が3年間で6割ほど割安となった。

このことはメイド・イン・チャイナの輸入コストが6割方値上がりしたことも意味するので、メイド・イン・チャイナをビジネスの柱としていたところは痛手を被っている。これは同時に、メイド・イン・ジャパンの復活を意味するので、地方再生の切り札的なものともなる。つまり、黒田日銀総裁の言う、「円安にデメリットはあるが、総合的にみれば、メリットの方が大きい」となっているのだ。

中国の利下げは、住宅バブル崩壊懸念など、減速気味の経済のテコ入れ、あるいは、軟着陸を狙ったものとされている。しかし、「元高にメリットはあるが、総合的にみれば、デメリットの方が大きい」ので、通貨安誘導が本音なのかもしれない。

今後、米連銀が利上げし、米ドルにつれて中国元が値上がりすると、以前のアジア通貨危機のような事態も想定される。世界一を伺う経済が、未だに管理フロート制でいることの無理が見え始めている。米連銀の利上げ開始に潜む波乱要因の1つとして、中国元に注目しておく時期となってきた。

タペストリー・プライスアクション理論で世の中の動きが分かる

私がずっと米ドル高、米株高、円安、日本株高になると言い続けてきたのはご存じかと思う。これは、私の相場の見方、タペストリー・プライスアクション理論から導き出されたものだ。その見方では、少なくともまだ2年はこのトレンドが続く。

私は少なからずの著書を書いたが、そのどれもがすべて、タペストリー・プライスアクション理論を下敷きとしている。この理論では相場はもとより、世界の動きの多くが説明できるのだ。

参照:矢口新の著書
http://aratayaguchi.web.fc2.com/

書物では時に難解な理論を、より分かりやすく、楽しみながら学べるように、ネット上でのドリルにして貰った。何点取れるか、試して頂きたい。

■なぜ株価は値上がるのか?
https://www.bookdrill.jp/books/D0000072

■矢口新のトレードセンス養成ドリル Lesson1
https://www.bookdrill.jp/books/D0000073

■矢口新のトレードセンス養成ドリル Lesson2
https://www.bookdrill.jp/books/D0000074

■矢口新の相場力アップドリル 為替編
https://www.bookdrill.jp/books/D0000075

■矢口新の相場力アップドリル 株式編
https://www.bookdrill.jp/books/D0000076

■5段階で評価するテクニカル指標の成績表
https://www.bookdrill.jp/books/D0000071

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。