FXコラム

中国元が国際決済通貨の4位に浮上。円を抜く

【著者】

中国人民元の国際決済市場に占める割合が2.79%と、円を超えて4位に浮上した。1位は米ドル、2位ユーロ、3位英ポンドの順。

最近はあまり聞かれなくなったが、日本政府は長らく「円を、米ドルを超えるアジア貿易の主要通貨にする」と言ってきた。しかし、これで米ドルに追いつけないどころか、中国元にも追い抜かれたことになる。とはいえ、これはこれだけのことで、実害も、実益もないといえる。

貿易決済にどの通貨を使うかは、個々の企業が決める。例えば、日本がタイから果物を輸入する時、バーツでなく円を使えば日本の輸入業者に為替リスクは生じない。一方で、円を受け取ったタイの輸出業者が為替リスクを負うことになる。そのため、どちらが為替リスクを取るかは、個々の企業間の力関係となる。

この時、米ドルを使えば、双方が為替リスクを分担して取ることになる。また、米ドルならば、その他の国々との貿易にも使えるので、その都度の為替リスクが軽減する。流動性の高い通貨は、常に新たな流動性を呼び込む位置にあるのだ。

流動性の高い米ドルは便利だ。そうなると、何もわざわざ円や元のみならず、ユーロやポンドをあえて使用する必然性はないことになる。

とはいえ、国際展開する同一企業内での「貿易」に、わざわざ米ドルを使用する必然性もない。また、同じユーロを使うドイツとフランスとの貿易に、他の通貨を使用する必然性もない。一方、我々がアマゾンで買い物する時は、国内製品でも海外からの購入となり、円建てで支払う形となっている。

中国の2013年の輸出金額は日本の3.07倍、輸入金額は2.32倍もあった。どの通貨を使うかというテクニカルなことよりも、むしろ、こちらの方が大きな意味を持つと言えるだろう。

貿易額の大きな中国の通貨が、円よりも貿易決済に使われるのは自然だ。
中国人民元の国際決済市場に占める割合が2.79%で、円を超えたというのは、知っていても、知らなくても大差のない、単なる統計上の事実だと認識していれば十分かと思う。

【みんかぶマガジン】矢口氏のコラム
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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。