中国株安で、コモディティのヘッジ売り

中国株式市場の連日の大幅下落の中、ヘッジファンドに鉄鉱石やゴムなど、コモディティの空売りの動きが見られているようだ。

鉄鉱石価格は9日続落。8日の取引では鉄鉱石スポット価格は11.3%安の1トン44.10ドル。下落幅は2008年終盤のデータ収集開始以降で最大となった。大連商品取引所の鉄鉱石先物9月限は7.9%安の1トン349元(56ドル)で取引を終了。2013年の取引開始以降で最低となった。上海先物取引所の鋼鉄、ゴム、銅、ニッケルなども売られた。

ヘッジファンドは株式の下落を受けて追加保証金のためにコモディティの売りを迫られているほか、空売りで利益を出そうとするものもいるという。政府が株式をショートに傾けることを禁じたため、ファンドはショートにできるものなら何でも売っているという。

当局による株価下支え策は、

1、政策金利の引き下げ。金融市場への資金供給。

2、2500億元(400億ドル)の景気刺激策を7月8日に発表。加えて、インフラ設備投資の加速も発表。

3、年金の株式投資を認可。生保に資産の10%を株式へ振り向けるよう勧告。国営企業に自社株買いを勧告。上場企業の取締役や幹部に株の購入を促す。

4、中国の投資信託を運用するファンドマネジャーの幹部らに、それぞれ50万元を自分たちが運用するファンドに投じ、1年間は売却しないことを確約させる。

5、証券会社21社に純資産の15%に当たる1200億元(193億ドル)で買い
  支えるように指示。中国国立証券金融を通じて2600億元(420億ドル)
  を、同21の証券会社に貸付け、株式を買い付けるように促す。

6、株式手数料を3割値下げ。

7、信用取引規制を緩和。自宅を担保に入れることを許可。

8、IPOの無期限延期。

9、一部の口座で空売りを1カ月間停止。

10、企業インサイダーに7月8日以降、6カ月間の株式売却停止。

11、上場企業の半数以上の取引停止を認める。

12、元安誘導などだ。

このうち、10の企業インサイダーについては、6月24日のコメントを参照されたい。
参照:中国株に危険な兆候
https://fx.minkabu.jp/hikaku/fxbeginner/chinese-stocks/

しかし、上海取引所は通常毎日1兆元以上の取引量があるので、これらのPKO(Price Keeping Operation)にどれほどの効果があるのだろう。

投資家にとって最悪なのは、購入した株式が売却できないことだ。上場企業の半数以上の取引停止を認めたことは、中国政府は市場の機能そのものをないがしろにしたことになる。その意味では、株価の急落そのものよりも、中国当局の対応策の方が深刻で、海外投資家離れは避けられないかと思う。

取引停止で、保有株価の損失拡大を止められないどころか、資金回収すらできないのなら、連鎖的に売られそうなものを売って、そちらの利益で穴埋めするしかない。

中国経済の悪化で連想されるコモディティの空売りに留まらず、日本株の下げにも、そういったヘッジ売りの側面があるかもしれない。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。