FXコラム

中国株に危険な兆候

【著者】

中国で企業のインサイダーたちが記録的なペースで自社の株式を売っている。2015年に入ってこれまでに、インサイダーたちは合わせて4600億元の株式を売り越したことが、HSBCのデータで分かった。企業の経営陣や重要株主による自社株売りは5月だけで1450億元に達し、6月に入っての3週間で更に1000億元売られた。今年に入ってのインサイダーによる売り越し額はこれまで月平均で800億元と、2013年、14年にみられた月平均100億元をはるかに上回っている。

一方で、一般投資家の信用買いがやはり記録的ペースとなっている。6月19日終了時点での信用残は2兆2700億元と、2014年末の1兆0300億元から2倍以上に膨らんだ。市場の過熱感を受け、先週、中国政府は信用取引の規制を強化し、レバレッジを最大4倍までとした。
(以上バロンズから要約:China: Insiders Selling At Record Pace)
http://blogs.barrons.com/asiastocks/2015/06/22/china-insiders-selling-at-record-pace/ (英字サイトです)

企業の内情を知るインサイダーの売りは、株価にとって危険な兆候だ。株価上昇で最も利益を得るはずの人たちが、一抜けたと、逃げ始めているからだ。経営陣や重要株主たちは、企業の長期展望や、目先の業績見通し、アウトサイダーには不明な悪材料に、最も精通した人たちだからだ。

また、2014年に米国の不動産を286億ドル買ったとされるチャイナマネーに関連しているとすれば、中国で稼いだ資金を持って、米国への移住を考えているのかもしれない。彼らは、主にロスアンゼルス、サンフランシスコ、シアトルと、ニューヨークの住宅を買っている。

参照:Wealthy foreigners bought $100 billion in US real estate
http://www.cnbc.com/id/102777978(英字サイトです)

上海総合

それだけではない。市場価格の長期トレンドを決めるのは長期保有者だ。信用取引の短期売買はボラティリティを高めるだけなのだ。2014年10月半ばから急上昇し始めた上海総合指数の買いの主役は、短期的なキャピタルゲイン狙いの信用買いの個人投資家たちで、その期間、インサイダーなどの長期保有者は売り続けていた。そうしてみると、この間2500から5000超までの上げ幅は、長い目で見ると価格のぶれに過ぎず、株価は大幅に調整されることになるかもしれない。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。