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資源国通貨とドル高

【著者】

7日夜、ユーストリームでの個人投資家向け放送で、「長期投資のリスク、2016年は短期トレードに挑戦を!」という題の話をさせて頂き、今年の相場環境を述べた後で、視聴者から「資源国通貨や英ポンドをどう思うか」という質問を頂いた。

資源国通貨は商品相場や中国景気の影響を受ける。当面は弱含みで推移するが、相当織り込まれているので、年内の反発も考えられるというのが、ほぼ市場のコンセンサスだ。

英ポンドに関しては、若干頭打ち感があるものの、景気は相対的には強く、米に次ぐ利上げはここだと言われている。それにしては弱すぎると言い淀んだところに、一緒に話をさせて頂いていた方が「EU離脱懸念」という助け舟を出してくれた。

確かに、英国がEUから離れることは懸念材料だ。これは市場のコンセンサスだと言える。一方で、英国がユーロに参加しなかったことで、英国はフランスやイタリア、スペインが味わっている苦悩からは無縁でいられている。難民問題もあり、ユーロだけでなく、EUそのものが泥船だとすれば、英国の離脱は英断となる。

話は変わるが、私は個人投資家の方々に短期トレードの指導を行っていて、トレードを始める前には、スポーツ選手がストレッチを行うように、毎回、週足、日足、時間足の順でチャートをチェックし、大きな流れと、現在価格の位置の把握をするように勧めている。

もっとも、週足は毎度チェックしても同じようなチャートで、退屈といえば退屈だ。それでもストレッチと同じなので、ルーティン・ワークとして重要なのだ。ところで、私自身は週足のチェックを以下のような形で行っている。

12通貨ペア

これだと、毎回見ても飽きないからだ。ちなみに日足は以下の通りだ。もっとも、こちらは週足で気になるものがあれば、通貨ペアを入れ替える。

4画面

そして、以下が時間足だ。これも当然、通貨ペアを入れ替える。

2画面

そして、実際の取引は5分足を使っている。私は山越え確認で売り、谷越え確認で買うといったトレードを行うので、短い足の方が、山谷が多く、その分収益機会も多いからだ。

最初の週足を見て頂きたい。こうした一覧で分かるのは、資源国通貨や英ポンドが弱いというより、米ドルと円だけが強いのだ。このことは中国元など、基本的なドルペッグ通貨も、強くなってきたことを意味する。その意味では、中国当局の元安誘導も、輸出主導の経済の悪化を避けるためには納得のいく行動だと分かる。元の買い支えや元高水準設定はスムージング・オペレーションに過ぎない。また、商品価格もドル建てだということを鑑みれば、下落幅の何割かはドル高の影響を受けていることになる。

そうしてみると、「資源国通貨や英ポンドをどう思うか」という問いへの答えも変わってくる。つまり、ドルや円をどう見るかという観点も外すわけにはいかないのだ。

ドルが強いのは、経済が強く、利上げに向かっているからだ。このままドルが上げるとすれば、資源国通貨や英ポンドはなかなか反発できない。そこに商品相場や中国の動向を加味することになる。

円が強いのは、経常黒字の大きさだろう。それ以外の要因で円が買われる理由に乏しい。そうして見ると、経常黒字が大きなままでは、対円で資源国通貨や英ポンドはなかなか反発できない。

2強であるドルと円に関すれば、利上げと共にドル高円安が進行しやすいが、経常黒字の重みは頭に入れておきたいというところだろう。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。