FXコラム

米中の住宅バブル比較 -その2-

【著者】

FXコラム|2014/05/28

関連記事:米中の住宅バブル比較 -その1-
https://fx.minkabu.jp/hikaku/fxbeginner/housing-bubble/

2007年夏に崩壊した米住宅バブルがつくられたものだったのと同様、中国の住宅バブルもつくられたものだ。米国のバブルは、当時最も力を持っていた金融機関と、住宅産業がつくったものだった。一方、中国は政府主導の経済なので、バブルも前記の戸籍制度や過剰融資に見られるように政府がつくったものだ。造ったと言えるのは、経済的な合理性を超えた、見せかけの実需によるものだからだ。

米サブプライムショックは、リーマンショックにつながり、世界を未曾有の金融危機に巻き込んだ。そこで、米連銀はすぐに未曾有の資金供給を行い、金融機関のレバレッジを肩代わりすることで危機を脱した。しかし、主役の金融機関と住宅産業は大きな痛手を被った。2008年1月から2011年8月までにリーマンブラザーズなど米386銀行が破綻した。

ところが、中国の住宅バブルは政府主導だ。中国政府は2009年以降、経済規模比では米国の1.6倍の資金供給を行っている。中国の場合は、バブル崩壊で最も痛手を受けるのは主役である政府自身である可能性が高い。その時、誰が救済するのか?

中国は2009年以降、ドル換算で約3兆ドルの資金を供給している。その間外貨準備は約2兆ドル増加した。つまり、金融緩和の大半は外債購入によるものだ。2013年9月末時点の外貨準備残高は3兆6600億ドル。12月末時点は3兆8200億ドル。2014年3月末時点は3兆9500億ドルだから、今頃は4兆ドルを超えている見込みだ。外債購入による金融緩和とは、元高阻止政策に他ならない。

これだけの外貨があれば、住宅バブル崩壊の危機を乗り切れるという見方もできる。一方、外債を売ることは、元の吸い上げ、金融引き締めにつながる可能性が高い。つまり、当局の過剰緩和による危機への対応は、引き締めだという、分かったような、分からないような結果となるのだ。通常、引き締めは危機を更に悪化させる。サブプライムショック後のECBの引き締めで、スペインやアイルランドが一気に失速したようなものだ。

では、過剰緩和による危機への対応は、更なる緩和しかないのか? ところが、バブルは「誰も買えない高値」であるという理由で、自律的に崩壊するものだ。そこでの緩和は信用の失墜を意味するだけかと思う。

市場経済を支えているのは異なった意欲や事情を持った多くの参加者の存在だ。買い手と売り手のバランスが命なのだ。ところが、政府主導の経済では、巨大な単一の意欲と事情が、他の参加者を圧倒する。一時的な買い上げ(経済成長)には威力を発するが、それはバブルを生み、自律的に崩壊する。中国ではその時期が迫ってきたようだ。

今後も、中国経済からは目を離せない。

みんなの株式に掲載されている矢口氏のコラムご覧ください
http://money.minkabu.jp/author/auth_yaguchi
最新記事:2014/5/26 「まどろみ」
http://money.minkabu.jp/45143

clicksec_468x60
矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。