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地政学的リスク高まりと原油価格上昇が為替に与える影響

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外国為替マーケット情報|2014/06/16

ポンド高、円高、ユーロ安?

現在、イラクではアルカイダ系武装組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」と政府軍の激しい戦闘が行われています。ISISは、北部の複数の都市を勢力下に置いて、首都バグダットへ向けて侵攻しています。それに対し政府軍も週末から掃討作戦を本格化し、米海軍も空母や駆逐艦を含む船団をペルシャ湾に向かわせています。これによってイラク産などの原油供給に影響が出るとして先週から原油価格急騰しています。

一方ウクライナでも、親ロシア派がウクライナ軍の輸送機を撃墜するなど緊張が再び高まっています。またウクライナがロシアのガス・プロムに対して30億ドルを超える天然ガス代金を滞納している問題で、EUを交えた交渉が続けられていましたが、価格などでウクライナとロシアの溝が埋まらず、ウクライナ側は今日の期限まで支払をしませんでした。その結果さきほどガス・プロムはウクライナ向け天然ガスの供給停止を発表しました。

欧州向け天然ガスはウクライナ経由のパイプ・ラインを通じて供給されていることから、ウクライナ向けのガス供給を停止すると、ガスの圧力が低下するなどして他の欧州諸国向けのガス供給にも影響がでる可能性がある、と報じられていて、代替エネルギーとして石油の需要が高まる可能性があることも原油高を後押ししている、と考えられます。

原油高は、日本の貿易収支赤字を増大させる事から、ファンダメンタルズ的には円安要因であるはずなのですが、短期的に見るとリスク回避要因ということから原油価格上昇は円高につながりやすい傾向があります。

ユーロは追加緩和の影響と、ウクライナ問題などから売られやすい状況となっている一方で、ポンドは先週のカーニーBOE総裁の「利上げ時期は市場の予想よりも早い可能性」との発言を受けた早期利上げ期待と、原油価格上昇が相場を支えています。

結果的に、ユーロ売り円買い、ユーロ売りポンド買い、などの動きが出やすい状況となっています。

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チーフストラテジスト 高野やすのり様
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高野やすのり|FXプライムbyGMO

高野 やすのり

慶應義塾大学商学部卒 チェース・マンハッタン、スイス・ユニオン、ファースト・シカゴなどでインターバンクディーラー業務に従事。 株式会社FXプライムbyGMO チーフストラテジストとして、長年培ってきた経験を生かし、インターネット上のコンテンツや、ラジオ、セミナーを通じて正しいFXの知識や、FXの魅力を広める為の活動を行う。 NPO法人日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト