原油価格、年末には85ドル?

【著者】

5月16日のニューヨーク原油先物市場は一時、半年ぶりの高値をつけた。カナダ、アルバータ州の大規模火災に加え、ナイジェリアやベネズエラの供給停止懸念が広がったほか、ゴールドマン・サックスが需要超過状態に陥ったとの見方を示し、価格を押し上げた。ゴールドマン・サックスは年内の原油価格の見通しを、50ドルに引き上げたという。

株価でもそうだが、ファンダメンタルズを見るアナリストが半年後の株価見通しを引き上げた時、その見通しに説得力がある場合や、有力アナリストの見通しの場合には、株価は半年後を待ってはいない。比較的短期間で、その目標株価に到達してしまうのだ。

そうなると、今度はテクニカル・アナリストが上昇トレンドを言い始める。株価が上がると、当たり前のことだが、トレンドが上向くからだ。こうなると、買いが買いを呼ぶ展開となる。そして、行き過ぎて下落する。株価が上げて、下げて、半年後の株価がファンダメンタルズ・アナリストの目標株価通りになっていても、後追いで買った人々は損を出してしまうのだ。

ニューヨーク原油先物の16日の終値は47ドル72セント、半年前11月3日の終値は47ドル90セント、ここで買っても50ドルにはすぐ届いてしまうが、上抜けは強気のシグナルでもある。

一方で、2016年末までには85ドルに達するという見方もある。「3月末の時点ですら、原油需要はすでに日量100万バレル、市場の見方を上回っている」と言うのだ。「今年の原油需要は日量180万バレル増加する見通しに対し、非OPEC諸国の供給は80万バレル減少する。OPECがその差の260万バレルを埋めることはできない」。

参照:Oil at $85 by the end of the year: Rothman

上記のコメントが米CNBCに載った時点のニューヨーク原油先物価格は43ドル18セント。これまでのところは見通し通りに進んでいる。

とはいえ、このコメントには穴がある。「非OPEC諸国の供給は80万バレル減少する」のは、原油価格が40ドル台というのが前提だからだ。非OPEC諸国の供給能力が下げている訳ではない。コストが合わなくなっているだけだ。

「50ドルを超えても、すぐには生産を再開できない?」と考える人がいるかもしれない。そのために、先物市場がある。生産者は50ドルで販売価格を確定してから、コストに見合う分を増産すればいいのだ。本来、先物市場はそういった生産者や、実需の消費者の利便のために発展してきた。

これらを勘案すれば、年末までに85ドルという見方よりも、50ドルという見方の方が、現実的に見えるのだが。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。