FXコラム

経常赤字の何が悪い? その1

【著者】

為替マーケット情報|記載日:2014/03/25

2014年1月の経常収支は1兆5890億円の赤字だった。前年同月比では赤字額が1兆2406億円増えた。赤字額は前月の6386億円を抜き、過去最大となった。貿易収支は2兆3454億円の赤字だった。

2013年通年の経常収支は3兆3061億円の黒字。貿易収支は12兆2349億円の赤字(モノが8兆7456億円の赤字、サービスが3兆4893億円の赤字)だが、所得収支が15兆5410億円の黒字で、差し引きでは経常黒字となった。

このまま2014年の経常収支が赤字になると、1980年以来のこととなる。財政赤字と合わせて、双子の赤字となり、日本凋落の象徴だとも言われている。果たしてそうだろうか?

まず、経常収支とは何かを復習しよう。

財務省のホームページによると、「経常収支」とは、「貿易・サービス収支、所得収支、経常移転収支の合計」だと説明している。

また、「資本収支及び外貨準備増減に計上される金融取引等の資本の取得・処分に係る取引以外の、居住者・非居住者間で債権・債務の移動を伴う全ての取引の収支の状況を示す」とある。

この但し書きを整理してみよう。

「居住者・非居住者間で債権・債務の移動を伴う全ての取引の収支状況」から、「経常収支」を差し引くと、「資本収支及び外貨準備増減に計上される金融取引等の資本の取得・処分に係る取引」が残る。

つまり、「居住者・非居住者間で債権・債務の移動を伴う全ての取引」という「国境を超える資金の取引」は、

1)貿易・サービス収支
2)所得収支
3)経常移転収支
4)資本収支
5)外貨準備増減

の5つがすべてだということが分かるのだ。

参照図:クロスボーダーの資金取引

経常収支

クロスボーダーの資金取引のうち、
1)貿易・サービス収支
2)所得収支
3)経常移転収支
の3つが、経常収支に含まれる。
これがどうして大事かと言うと、円需要、外貨需要を網羅しているので、実需がらみの円高、円安要因がすべて見られるからだ。

もっとも、資本収支には為替がからまない外貨調達・外貨運用が含まれるので注意を要する。
また、3)経常移転収支は「官民の無償資金協力、寄付、贈与の受払などの収支を示す。居住者と非居住者との間の対価を伴わない資産の提供に係る収支状況を示しています。」とあるので、これは無視していいだろう。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。