FXコラム

Q&A:デイトレードは地味、だが、一番安定している?

【著者】

米利上げに関しては、こちらをご覧ください。
参照:米経済は異常事態を脱した
http://money.minkabu.jp/53449

:昨日の日経新聞にヘッジファンドの特集がありました。今年はほとんどのヘッジファンドの成績が悪く、なかには閉鎖に追い込まれたものもあるようです。高い手数料を支払うヘッジファンドがインデックスの収益を下回る残念な成績です。

ヘッジファンドというと、プロ中のプロという認識でしたが、やはり投資で勝ち続けるということは難しいのでしょうか。ヘッジファンドも、上昇相場には強いが、保合相場や下落相場には弱いのでしょうか。

ヘッジファンドの閉鎖を見ていると、ビジネスとしては、デイトレードは地味ですが、一番安定はしているのでしょうか。

ヘッジファンドが人材を募集しています。

「ヘッジファンドが人材不足となっている。最も大きな原因は、これまで人材を供給してきた金融機関が運用部門を縮小していることだ。一方で、ヘッジファンドへの資金流入は続いており、運用者が足りなくなった。バークレイズの報告書によると、ヘッジファンドの資産は2008年の1.4兆ドルから、2014年には2倍の2.8兆ドルと倍増した。それにつれて、ヘッジファンドの総数は3万5000から7万5000に増大した。このことで、特にトレーダーやポートフォリオマネージャーなどの運用者が不足することになった。

また、以前は金融機関を目指していた優秀な学生たちが、シリコンバレーなどに流れていることも大きい。金融機関からのヘッジファンドへの人材供給は、以前は業界の70%にも達していたが、現在は30%ほどに低下している。」

参照:Hedge funds are having trouble hiring, and it’s changing the Wall Street ecosystem
http://finance.yahoo.com/news/hedge-funds-having-trouble-hiring-161723123.html 」

7万5000のファンドに何人のファンドマネージャーがいるかは知りませんが、私が知る限り、優秀なプロの運用者は一握りです。資金とファンド数だけが増えても、運用者の選抜が雑になっては、残念な成績も、さもありなん、というところでしょう。

上記の記事にあるように、ヘッジファンドの運用者は、トレーダーとポートフォリオマネージャーに大別されます。いわゆる、ヘッジファンドマネージャーとは、ポートフォリオマネージャーのことで、トレーダーは執行者(executor)とも呼ばれ、市場でよりよく売買するだけの役割が主な仕事です。大した仕事ではないように思われますが、大量の注文を効率よくさばくには、それなりの技術や人脈が必要です。トレーダーが残念な成績を出すことは、まずなく、損がでるのはポートフォリオマネージャーの力不足が原因です。

「投資で勝ち続けるということは難しい?」というより、投資運用の経験のない人たちがポートフォリオマネージャーになれることが問題です。ヘッジファンドに限らず、ミューチュアルファンドのマネージャーたちも、元金融機関の支店長、営業マン、アナリストだったという人たちも多く、どちらかと言えば、資金調達能力に優れているところから集めた資金を、「あれくらい俺にだって運用できる」と始めるのです。元通産相の役人などもいましたね。

例えれば、お茶の間解説者でも資金調達力さえあれば、野球やサッカーの監督になれる世界です。だから、ヘッジファンドだけでも7万5000もあるのです。野球やサッカーに例えるなら、プロと呼べるヘッジファンドは世界に750もないのです。

大きな損を出さないで、利益を積み上げる運用をしていれば、残念な結果にはならないのですが、レバレッジを大きくして博打を打てば、一か八かで大勝ちも大負けもするようになります。もともと、実体験に乏しい人たちですから、恐いもの知らずなのですね。

上昇相場には強く、保合相場でも力を出せるが、下落相場に弱いのはミューチュアルファンドです。ヘッジファンドが下落相場でやられるのは下手だからと言えるでしょう。

「デイトレードは地味だが、一番安定している」のは、環境に左右されることが少ないからです。長期保有はある環境でのみ威力を発揮し、絶対リターンはほどほどという弱点があります。どんな運用商品、環境下でも、「波動の山谷を取る技術は同じ」ということを鑑みれば、安定して高収益を狙えるのは短期トレードです。この技術を「地味」というのは、本質を捉えた良い表現だと思います。

【みんかぶマガジン】矢口氏のコラム
最新記事:16/12/5「イタリア国民投票の焦点
矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。