FXコラム

ドル円と日本株のトレンドは変わったのか? その2

【著者】

ドル円と日本株のトレンドは変わったのか? その1

トレンドに影響を与えるのは投資(実需)だ。ボラティリティは投機(仮需)によって作られる。

トレンドとボラティリティ

超短期取引のスカルパーたちは、自分がスクリーンの前にいる間だけポジションを持っている。損益を確定すればそれで終わりだ。大量の資金を使えば、一時的に大動きはするが、上げたものは下がり、下げたものは上がる。

デイトレーダーたちは、日中に作ったポジションを翌日まで持ち越すことはない。持ち越せば、デイトレードとは呼ばれず、スウィングと呼ばれるようになる。つまり、デイトレーダーたちは、日中のボラティリティにだけ関与している。

スウィングトレーダーたちは、短期のトレンドだけに関与できる。日々の終値が上げ続けていれば、デイトレーダー以上に長くポジションを保有する人たちが買っているのだ。

ディーラーや、ヘッジファンドなど、プロの投機家たちは、短期的な収益を要求されている。また、高収益を狙ってレバレッジをかけると、借りた資金を返さねばならない。ポジションの損益に関わらず、数カ月も同じポジションを持っていることは、まずない。このことは、彼らが短中期の上げ下げ、ボラティリティに関与していることが分かる。

つまり、右肩上がり、下がりなどと呼ばれる中長期トレンドには、投機(仮需)は関与できないのだ。投機(仮需)を全部合わせると、外為市場なら99%にもなるが、それでもトレンドには関係がない。

ヘッジファンドなどは、自分がつくったポジションを利食うために、虎視眈々と絶好の機会を狙っている。その機会は早ければ早いほど良い。次のトレードにも移れるからだ。そういった彼らの資金の性質を理解していれば、ヘッジファンドの大物たちがトレンドらしきものを語る時は、利食いの機会を狙っている時だと推測できるようになる。信じて売り買いすれば、彼らに絶好の利食い場として利用される。彼らにとっては、自説が当たろうと外れようと、もはやほとんど関心がない。一般論としては、そう言える。そうでないヘッジファンド・マネージャーは、既に現役ではないのではないか?

トレンドに影響を与えるのは投資(実需)だ。為替レートに最も大きな影響を与える実需は貿易収支だ。日本の貿易黒字は、円買い実需が外貨買い需要よりも大きいことを意味している。円高要因なのだ。

貿易収支

このことで、ドル円レートが2011年に大底を打ったのは、貿易収支が赤字に転じたことが大きな要因だったことが分かる。

では何故、輸入総額が輸出総額を超えることが、円安に結びつくのだろうか?

これもTPA理論の復習になるが、確認のために繰り返す。

実需の買い

電力会社が天然ガスを輸入すると外貨の支払いが生じる。円建てだと生じないとする識者もいたが、円建ての場合では、現地の為替市場で円売り外貨買いが起きている。円は日本国内でしか使えないからだ。つまり、輸入は貿易通貨に何を選ぼうと、間違いなく円安要因となる。

電力会社が米ドルを買ったとする。その米ドルを天然ガスの支払いに充てる。電力会社が手にしたのは米ドルではなく、天然ガスだ。つまり、ドルの買い切りで、売り戻しはない。

誰からドルを買ってもいいのだが、現実には外為銀行からが多い。外為銀行が手持ちのドルを売れば、ドルが不足する。外為銀行にはそもそもドルを売るニーズがなく、電力会社のために手当しただけだからだ。そのドルは、通常、他の外為銀行から手当てする。あとはその連鎖だ。市場での実需取引がこの1件だけだと、市場のドル不足は埋まらず、ドルは永遠に値を上げる。

その不足を構造的に埋めることができるのは、輸出のドル売り円買いだ。そして、輸入総額と輸出総額の差が貿易収支なのだ。つまり、日本の貿易黒字は長期トレンドにおける円高要因で、貿易赤字は円安要因だと分かる。(続く

以下は、私が専任講師を務めている、投資の学校からのセミナーのお知らせだ。

【3/16(水)19:00-21:30@東京開催】
「投資の学校プレミアム×矢口新」
リアルタイムチャート解説セミナー
⇒ https://goo.gl/WGvLqZ

為替のプロディーラーとして
東京・ロンドン・ニューヨークの世界三大市場で活躍した
矢口新があなたの目の前でリアルタイムチャートを解説

相場で収益を上げるための
プロが実践するトレードの技術を教えます。
⇒ https://goo.gl/WGvLqZ

このセミナーで学べること

・プロディーラー矢口新のトレードの技術
・動き続ける相場で収益を上げるための極意
・リアルタイムチャートでの売買判断のポイント
・なぜそこで売買するかの判断の根拠
・トレードで収益を上げるもっとも効率的な方法
・株でもFXでも使える相場分析の理論
・初心者でもできるリスク限定のトレード上達術

※参加費無料※
【3/16(水)19:00-21:30開催】
「投資の学校プレミアム×矢口新」
リアルタイムチャート解説セミナー
お申し込みはこちらから
⇒ https://goo.gl/WGvLqZ

投資の学校プレミアムとは?

日本人に正しい投資教育と最高の学びの環境を提供することで
正しい投資の知識を持つ勝てる投資家を輩出することを
ビジョンに掲げて活動する投資教育専門の「学校」

体系的でわかりやすい投資の授業を
誠実に提供することで投資家育成という観点からの
社会貢献活動を行っている。

【みんかぶマガジン】矢口氏のコラム
最新記事:16/12/5「イタリア国民投票の焦点
矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。