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黒田発言と米金利低下のダブルパンチ

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外国為替市場情報|2014/04/09

昨日はアジア時間に日銀の金融政策決定会合で金融政策が据え置かれた後、黒田総裁の記者会見での「現時点での追加緩和を考えていない」などのタカ派色の強い発言が相場へ衝撃を与えました。微妙な結果に終わった雇用統計後、米金利の下落とともに上値の重い推移を続けていたドル円を更に蹴落とす結果となりました。市場では早ければ4月30日の金融政策決定会合にて追加緩和の可能性も考えられていたことから、円買いが進む展開となりました。
米国時間にも米国債金利がさらに下落を強めたことと併せて、黒田発言が再意識された可能性が高く、ドル円は102円台を大きく割り込み一時は101.50に迫るところまで押し込まれる展開となりました。昨日の米国株式市場はナスダックを中心に下げ止まりを見せる展開となったのが唯一の明るい材料となりました。
また、筆者が注目していた2月のJOLTS求人労働移動調査は求人数が増加、雇い入れが若干増加、離職が若干減少と改善を示す内容となりましたが、市場の反応は限定的なものに留まっています。

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ドル円は黒田総裁の会見中に3月末にもみ合った102.80を割り込み、下落スピードを強める展開となりました。米国金利低下とのダブルパンチの衝撃は大きく102円前半程度がターゲットと予想していましたが、予想以上に下落が大きく101円台まで突っ込む推移となっています。
現在は102.00近辺まで戻してきていますが、依然として警戒は必要と考えられます。まずは102円台をしっかりと回復できるかどうかをしっかりと確認したいところです。再度安値を探る動きとなる展開も考えられ、その際に意識されるのは昨日の安値である101.55と考えられます。このラインを割り込む推移となると100円台への下落も視野に入れた下落圧力が増す可能性が高まります。
本日は米国時間にFOMC議事録の公表が予定されています。イエレン議長の記者会見から発したQE終了後6カ月後に利上げとの観測が雇用統計後、後退しつつある中、FOMC議事録にて6カ月またはそれよりも早い時期での利上げに関しての議論がされていたというような、タカ派な内容のものとなれば米国債利回りの反発、ドル反発のきっかけになると考えられます。逆に6カ月以上の時期を想定した意見が多く飛び交っているような状態であったり、QE縮小ペースに関して弱気な意見などが出てくるとドル売りの材料としてとらえられると考えられます。

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不沈空母ユーロは底堅い推移となり一時は1.38台を回復するところまで上昇となりました。ECBの量的緩和観測の後退、米国債利回りの低下によるドル売りが主因と考えられます。3月後半から1.38の上では重い推移が続いていることからこの1.38を上抜けてしっかりと推移できるかどうかが焦点となると考えられます。本日はドイツの経常収支、貿易収支の発表が予定されている他、今週はユーロ圏各国の鉱工業生産、消費者物価指数の確報値の発表が続きます。まずはエースであるドイツがしっかりとした経常黒字を計上できているかどうかをしっかりと確認していきたいところです。
また、相場へのインパクトはあまり見られませんでしたが、昨日はフランス中銀総裁からユーロは強すぎるなどのユーロ高牽制発言が出てきており、本日もユーロ圏の要人のコメント機会が予定されていることから、ユーロ高牽制、量的緩和をはじめとする追加緩和を臭わすコメントが出てくると上値が重くなることが想定されます。

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ユーロ円はドル円の下落に足を引っ張られ下落スピードを強めました。なんとか140円台は守り切りましたが伸び悩んでいる状況が続いています。現在日足チャートでは140.00近辺をネックラインとしたダブルトップ類似の形を形成していることから140.00を割り込んでくると下落圧力が更に強まる可能性が高まると考えられます。

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ポンドドルは昨日の良好な鉱工業生産の結果に後押しされ保ち合いをしっかりと抜け出す推移となりました。短期的に大きな上昇となったためある程度の調整も考えられますが、強気な状態は続くことが想定されます。1.67後半では3月序盤に上値を抑えられていることから、この水準を上抜け1.68台を回復できると更なる上昇期待も生まれてくると考えられます。
本日英国では2月の貿易収支に加えBOE金融政策会議(結果は明日公開)となります。貿易収支で多少の変動があった後は、本日はFOMC待ちの状態となり、ドルの強弱に揺さぶられる展開となりそうです。高値警戒感は残るものの、昨日のレジスタンスである1.6755近辺を上抜けると再上昇への道が開かれるかもしれません。

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豪ドルはレジスタンスとなっていた0.93を上抜け上昇を強めています。本日は昨日の高値である0.9366を上抜けることが出来るかどうかに注目が集まります。サポートと考えられるのは昨日の夕方くらいのサポートである0.9315近辺と考えられます。そのラインを下抜けると0.92台中盤までの下押し圧力が強まると考えらます。
ただし、本日の米国時間にFOMC議事録、明日に豪雇用統計、中国貿易統計を控えていることから動きににくく、イベントに左右される展開となることには注意が必要です。

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【本日の注目材料】
本日の注目はやはりFOMC議事録に集中すると考えられます。議事録の内容がイエレン議長の記者会見時の失言?同様にタカ派色の強いものとなればドル反発のきっかけになると考えられますが、逆にハト派色の強い内容となればドル売り続行というシナリオが考えれれます。
また、ユーロ圏の高官からのコメント機会が多く、昨日のフランス中銀総裁のようにユーロ高を牽制するようなコメントが増えるとユーロの上値を抑える可能性もあるため注意したいところです。

【本日の予定】
10:30 豪2月住宅ローン貸出
14:00 4月日銀金融経済月報公表
16:00 メルケル独首相コメント
17:30 英2月貿易収支
18:45 ラウテンシュレーガー独連銀副総裁講演
20:00 米MBA住宅ローン申請指数
20:00 ショイブレ独財務相講演
23:00 米2月卸売在庫
23:00 クーレECB理事、講演
23:00 コスタ・ポルトガル中銀総裁講演
23:30 米週間原油在庫
翌2:00 米10年債入札(210億ドル)
翌3:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録公表(3月18-19日開催分)
翌3:00 クーレECB理事講演
翌4:30 エバンス米シカゴ連銀総裁講演

OANDA Japan   オアンダ ジャパン<本記事ご協力>
OANDA Japan株式会社
チーフストラテジスト 佐藤甲様
佐藤甲|OANDAJapan チーフストラテジスト

佐藤 甲

OANDAJapan㈱チーフストラテジスト。 NY時間を中心にディーリング業務を担当し、2012年より現職。ファンダメンタル、テクニカル、時にはシックスセンスを駆使し相場を斬る。夢と希望と情熱あふれる熱血相場師!風貌はラテン系だが、異性には奥手。日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト