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6・10黒田発言は19日追加緩和サプライズに向けての“マッチポンプ”?

【著者】

当面のドル/円“政治レンジ”は122.00~125.00円?

為替市場では昨日ビッグ・サプライズとも言える発言が。
そのサプライズとは、衆院財務金融委員会での黒田日銀総裁発言。いわゆる“黒田ショック”
質疑応答の中で黒田総裁曰く、「実質実効レートではかなりの円安」「(ここからさらに実質実効レートが円安に振れるということは)普通に考えればありそうにない」と、まさに“冷や水”ではなくギンギンに冷えた“氷水”を頭からぶっ掛けたような格好に。

市場はやにわに「日銀の円安容認レート上限は125円台」と判断したことで一部ポジションの利食いフローもあり122円台ミドルまでの釣瓶落としのような円高水準となったものの、今のところテクニカル的には21日移動平均線水準である122.58円レベル、もしくは日足・一目均衡表・基準線である122.38円を強く意識する形に。

また、長きにわたった保ち合い(もちあい)相場からの“保ち合い放れ”の起点とも言える5/14安値の118.89円(ローソク足形状は「十字線」[=明けの明星])と米5月雇用統計発表日である6/5高値の125.86円を結んだフィボナッチ・リトレースメント50%押し水準が122.38円
当該数値は、先に紹介した日足・一目均衡表・基準線の数値と同じであるため、今後も非常に重要なテクニカルポイントとして意識されそう。

そもそも、日銀のマンデート(=委任された権限)は日銀法第2条に記載されている通り「物価の安定を図ること」にあり、具体的な為替水準言及は“管轄外”。(最近の中央銀行総裁、特にスティーブンスRBA総裁あたりは常にその“管轄外”発言を繰り返していますが・・・。)
昨日の黒田総裁の発言は、ついつい乗せられて言っちゃった感もありますが、裏を返せば「125円台までの円安水準は日銀の管轄下(=責任範囲)であるものの、それ以上は外部要因や他の力学によるもの」とのメッセージを発したとも考えられます。つまり、為替レートという「市場の余計な憶測」を抑え込み、2%の物価水準達成目的のために追加の量的緩和を行う理由づけとも考えますが、いかがでしょう?

現在TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)締結に必要なTPA(貿易促進権限)法案が米下院通過手前という、非常に政治的に微妙なタイミング下での黒田発言があったためいろいろな憶測が飛び交いますが、一般的には日米両サイドにとって極端な円安・ドル高水準は望ましくないといった姿勢を示したことで、当面のドル/円“政治レンジ”122.00~125.00円と想定してもよさそう。

一方で、穿った見方をすれば、次週開催される日銀金融政策決定会合において“サプライズ緩和”を行うための素地を作った、いわば“マッチポンプ”とも考えられなくもない状況。
喫緊の注目は今夜の米5月小売売上高。その他は、次週16-17日のFOMCと18-19日の日銀金融政策決定会合。いずれにしても、これから来週末にかけては日米金融当局トップの口唇に耳目が集まる展開となりそうです。

ドル円

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津田 隆光

NTAA認定テクニカルアナリスト(CMTA)。 テクニカル分析をベースとしたレポートを執筆する他、ラジオNIKKEI「ザ・マネー ~西山孝四郎のFXマーケットスクウェア」では隔週金曜日にコメンテーターを務める。