FXコラム

エネルギー輸入の莫大な効果

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FXコラム|2014/05/20

20日早朝のテレビ経済番組で、解説者が円安なのに何故、輸出が伸びないのかを説明していた。

まず、輸出(日本企業)側の要因として、円安によるコスト安を、製品価格の値下げ、売り上げ増に繋げず、利益の拡大に繋げているとの指摘があった。これでは輸出は伸びないが、利益は増える。実際に最高益を更新する企業が続出している。

これは自然で、これまでの円高が余りにも行き過ぎていたので、どんなに輸出しても利益が出ず、管理費、研究開発費、設備投資、人件費などの圧縮で乗り切ってきた。このままでは、日本で生産すること自体が不可能になる一歩手前まで追い詰められていたのだ。日本の競争力が落ちたことを自虐的に語る声も大きかったが、極端な通貨高で競争力が落ちなかった国などどこにもない。米独も例外ではない。

ここにきて、日本企業はようやく利益の使い道を考えるという、本来の形に戻ることができた。私は日本企業の回復を信じている。

一方、輸入(主に米国)側の要因として、これまでの円安は、米国の事情によるドル高を反映したものだと言う。つまり、米景気回復、金利高、ドル高円安となっていたので、米個人消費拡大、輸入増、日本からの輸出増となっていた。

ところが、今回はアベノミクスによる日本発の円安なので、米金利も低く、個人消費拡大、輸入増とまではなっていないとの指摘だ。とはいえ、金利高によるドル高円安は時間の問題で、米個人消費拡大、輸入増、日本からの輸出増にも繋がるだろうと述べていた。

私も基本的には同じ考えだ。もっとも、アベノミクスを円安転換の要因と見ていては、2011年のドル円の底打ち、2012年後半からの本格反転の説明がつかない。安倍政権誕生は2012年末。円安要因となった異次元緩和は2013年4月からだからだ。

2011年に何が起きたか? 全原発の稼働停止だ。結果として、天然ガスなどのエネルギー輸入が急増し、貿易赤字が示す円売り外貨買いが、円のトレンドを変えた。

思えば、貿易黒字時代は世界中から嫌がらせを受けてきた。売りたいものが多いのに、買うものが少なかったからだ。円高により、コスト高で売っても赤字で、一方、農産物を含めた海外製品は割安となり、高関税で産業を守るという後ろ向きの対応に終始した。

エネルギー輸入が主導し、ドル円が120円、140円、160円となっていくのなら、TPPなど恐れるに足りない。海外製品に60%の関税とかけるのと同じ効果だからだ。抜け道もない。そういった莫大な経済効果も、農水産業の自立も、脱原発の恩恵であると、どうして誰も言わないのだろうか?

みんなの株式に掲載されている矢口氏のコラムご覧ください
http://money.minkabu.jp/author/auth_yaguchi
最新記事:2014/5/20 「3K仕事やりたがらない」
http://money.minkabu.jp/45072

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。