エントリーと同時に利確と損切りオーダーを入れてもいい?

【著者】

:矢口先生はエントリーと同時に指値や逆指値等で利確と損切りを予め入れてしまうというやり方はしますか?

初心者の自分の考えですが、エントリーと同時に全てを入れてしまうトレードはその時点で全てを放ったらかしに出来るので、相場やチャートに「慣れる」という意味では、やらないほうがいいのかな? と考えます。

ただ、成行きでポジションを持っていて、「損切りになりそうだな・・・」とチャートを見ていた時に突然大きく動いて、確定のクリックが遅れて損失が大きくなるということを防ぐ為にはいい方法なのかなとも考えます。

「エントリーと同時に全てを入れてしまうトレードはその時点で全てを放ったらかしに出来るので、相場やチャートに『慣れる』という意味では、やらないほうがいいのかな?」

こう考えて頂けるのは、嬉しいですね。エントリーと同時に全てを入れてしまうトレードは「システム・トレード」で、結果だけがすべてです。楽して儲けるというのは、どうかなと思います。

もっとも、「システム・トレード」で着実に儲けられれば、後はすべて自分の時間で、他の必要なことに時間を割いたり、趣味などで人生を謳歌できるという考え方も魅力的ではあります。

ただ、他人任せのシステム・トレードでは、自分の損益、大袈裟に言えば、自分の人生に責任が持てません。自立した投資家ならば、システム・トレードも自分自身で作り上げる必要があります。そのためには、相場を知ることが不可欠なのです。

人生、何があるか分かりません。知り合いで、長期入院したことがある人が、事前にシステム・トレードをつくっていたので、経済的には助かったと言っていました。その人は、それ以前に売買経験を重ねることで、自分自身のシステム・トレードに行きついていました。相場やチャートに「慣れ」ていたのです。

また、金融政策や経済指標などのイベント時に、方向が定まる前に上下に大きく振れることが多いのは、その時に置かれている「損切オーダー」をあえて付けにいくためです。これも、損切りという大切なことを、オーダーという他人任せにしたことのコストです。

相場は自分で行うものです。利益確定も、損切も、ぎりぎりまで判断することで、経験値が高まり、感性が養われることになります。原則的には、仕掛けと利益確定は谷越え確認、山越え確認で行います。つまり、谷越えで買ったのなら、利食いは山越えだと判断できた時です。損切は谷底値の更新で行います。

「確定のクリックが遅れて損失が大きくなる」ことは、タイミングの遅れですから、慣れることが必要です。慣れるまでのコストは、将来に必ず取り返せると思っていて下さい。タイミングでなく値が飛ぶ時ならば、損切オーダーでも、同じように損失が大きくなります。

事業や他の分野で成功した方々も、失敗の数だけ、修羅場をくぐる数だけ大きくなれると言っています。もちろん、これは生き残った方々だけが言えることなので、今は死なないように、小さな金額で失敗し、修羅場の疑似体験を重ねておくのです。そして、続けることだけが、上達への確実な方法です。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。