ユーロは四重苦?

【著者】

ユーロ圏が四重苦の危機にあるとの観測がある。

1)ドイツが主張している財政緊縮策により、需要が冷え込み、公共投資が拡大しない。
2)ECB金融緩和策が小粒、遅きに失する可能性を懸念。また、ECBに十分な政治的支援がない。
3)2015年の予算案をめぐって、赤字削減圧力に抵抗する仏伊とEU当局との対立が深まっている。
4)ギリシャは2400億ユーロの救済策からの早期脱却を目指している。解散総選挙が噂される中、過激な左派勢力が政権の座につく可能性が懸念される。

参照:ユーロ圏「四重苦」に市場警戒、忍び寄る危機再来の影
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0SC1XR20141017

統一通貨が機能するためには、金融政策だけでなく、財政政策や年金基金などの統一が必要だ。

「ユーロが今後も信頼される通貨として存続していくためには、手遅れにならない時期までに、1つの国家になることが必要だ。1つの国家となり、1つの政府、財政、軍隊、福利厚生、労働市場などを持つだけでなく、ユニバーサルな教育を通じて、言語や文化の統一や融合をはかることも重要だろう。

1つの国家になれば政策金利は同じでも、景気が落ち込んだ『地域』に対して、現状のような財政引締めでなく、財政出動を行うことができる。そしてユニバーサルな教育が、好むと好まざるとに関わらず、言語や文化の垣根を低くし、労働市場の流動化を促進させるだろう。」

参照:☆ギリシャ、アイルランド「ユーロ周辺国と日本の選択肢」
第14回:「第7項;広域通貨の可能性」

http://ameblo.jp/dealersweb-inc/entry-11149885991.html

ユーロ圏は当初の目論見とは違い、もはや統一国家をつくる意志がないように思える。ユーロ圏は大国ドイツの意見を最もよく反映してきた。そのドイツにとって、ユーロ導入当時は、東ドイツを抱え込んだドイツ経済が最も苦しく、統一国家へのメリットがあるように思えた。ところが、サブプライムショック後にドイツが主導した金融政策を通じて、ドイツの一人勝ちとなり、もはや統一国家はデメリットでしかなくなった。また、スコットランド独立騒動があったように、ユーロ圏はもっと深刻な地域、民族、言語の問題を抱えている。

お時間があれば、上記のブログ「☆ギリシャ、アイルランド『ユーロ周辺国と日本の選択肢』」を読んで頂きたい。膨大な量だが、ドイツの壮大な取り組みと問題点とがご理解頂けると思う。

ユーロは四重苦どころか、時間の問題で解消されると、私は見ている。

【みんかぶマガジン】矢口氏のコラム
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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。