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沈まぬユーロ

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外国為替市場情報|2014/04/01

昨日は欧州時間に発表されたユーロ圏の消費者物価指数は全体で市場予想を下回り前年比で+0.7%から+0.5%へ低下であったのに対し、コアの部分では市場予想通り+1.0%から+0.8%への低下にとどまりました。
ユーロは発表直後、一瞬売りが進む動きとなりますが、すぐに反発、終わってみれば発表前よりも高水準での推移となりました。昨日のザクセン州やスペインの消費者物価指数が弱かったことから売りが進んでいたことからの利益確定、ECBが使える追加緩和の手段は限られていること、期末、月末のユーロ買いのフローなどがユーロ売りを跳ね除ける推移となり、不沈空母はまたしてもショートポジションを絞り出す動きをみせました。

その後のNY時間では、発表されたシカゴPMIが市場予想を下回る結果となり市場に米国経済への不安が走った後、労働市場、インフレ率ともに脆弱性があることから、緩和姿勢の継続を強調する内容のイエレンFRB議長の講演にて先日のFOMC後のタカ派姿勢が修正され、ドル売りが進む展開となりました。他市場では、米国株式市場は底堅さを見せる一方で米国債利回りは低下となりました。

本日早朝に発表となりました日銀短観では現状は改善傾向がみられるものの、先行きに関しては市場予想よりも弱いものとなりました。直接的に為替への影響はみられなかったものの、日銀の追加緩和観測を後押しするものとなると考えられます。
また、先ほど発表された中国の政府発表の製造業PMIは市場予想に反し改善をみせていたことからリスクオン地合いが少し強まっています。

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ドル円は欧州時間に米国債利回りの上昇に併せ値を上げ、103.00を突破し103円台中盤まで上昇する場面をみせました。その後はシカゴPMI、イエレン議長の講演を受け下値を探り103円台を割り込む場面も見られましたが、その後は底堅さを見せ再び103円台を回復する動きとなっています。
日足ベースでは保ち合いを上抜けてきているような状況となっていることから、さらなる上昇余地があるようにも感じられます。

本日は昨日の高値である103.43、さらには3月7日の高値である103.76を上抜けることができるかに注目が集まります。また、昨日に続き米国債利回りが低下するような動きになると下値を探る動きとなる可能性も残っていることから、昨日の103円台、さらには、昨日のアジア時間のサポートである102.80近辺をしっかり守れるかどうかに注目したいところです。昨日多少のガス抜きはあったものの、短期的な上昇が強かったことを考えると、崩れ始めると意外に崩れるのも早いかもしれません。
本日は米国時間にISM製造業景況指数の発表が予定されています。昨日のシカゴPMIは弱含んだものの、製造業関連の景況感は比較的改善を示すものが多かったことから改善への期待が高まっています。そのため仮に弱い結果となったときのインパクトは大きいものとなることが予想されます。また、内訳の雇用指数にも注目したいところです。

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不沈空母ユーロは消費者物価指数が弱含んだことによるユーロ売りを跳ね返す動きとなりました。弱い結果は市場がすでに織り込んでいたこと、ECBの持てるカードが限られていること、期末の実需からのユーロ買い、弱いドルなどが昨日の底堅さの主因と考えられます。この底堅さを見ると、仮に今週のECB理事会で利下げを行ったとしてもインパクトは限定的で逆に売り一巡後は買いが強まる可能性すら感じられる状況となっています。
昨日のサポートとなったのは消費者物価指数発表後の1.3722、発表前のサポートとなっていたのが1.3745近辺。長い下ヒゲを残して上昇に転じていることを考えると、サポートとして意識されるのはこの2つの水準かと思われます。
レジスタンスは1.381手前で昨日数回押し戻されていることから、1.381と考えられます。本日もユーロ圏の雇用、PMI、米国のISM製造業等、経済指標が多く結果次第で上下に揺さぶられる可能性があると思われますが、底堅さを残した推移が続くことが予想されます。

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ユーロ円は142.00を上抜け底堅さを見せたものの、昨日のシカゴPMI、イエレン議長の講演を受け、下落を強め、142.00を割り込む推移となりましたが、その後は底堅さを見せ再び142円台を回復する動きとなりました。
テクニカル的にはレンジを上抜けてきたことから引き続き底堅い推移が期待できると思われますが、本日は経済指標も多く予定されていることから、結果次第で揺さぶられる可能性も高いと思われます。
サポートと考えられるのは昨日のNY時間のサポートとなった141.8、アジア時間のサポートである141.3近辺が意識されると思われます。レジスタンスラインは昨日のNYの高値である142.60近辺が意識されると思われます。また、大きな上値のターゲットは3月7日の高値である143.8と考えられます。

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ポンドエクスプレスは昨日もジワリジワリと値を上げ保ち合いを抜け出してきている状況となっています。トレンドラインの引きかたには議論があると思われますが、筆者の引いたラインでは上抜けてきたと捉えられる水準まで上昇してきています。本日の製造業PMIが強い結果となると1.67突破も視野に入れた推移となると予想されます。現在は3月初旬にもみ合った水準での推移であることからしっかりと上抜けると更なる上昇の余地を生むと考えられます。

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豪ドルも好調をキープしています。先ほど発表された中国の政府発表の製造業PMIが改善を示していたことから上昇を強めています。本日はこれからHSBCの製造業PMIの確報値の発表も控えていることから、それも上方修正となるとさらに上昇圧力が増すことが考えられます。仮に弱かったとしても中国政府の景気刺激策への期待が底を支えることが想定されます。
また、本日は昼過ぎにRBAの政策金利の発表が予定されています。金利は据え置き濃厚と考えられ、注目は声明文の内容となります。先日のスティーブンス総裁の講演では豪ドル高を懸念する声は聴かれませんでしたが、本日の声明文で豪ドル高を懸念する内容が強いものとなると豪ドルにとっては大きな重しとなる可能性があることには注意が必要です。

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【本日の注目材料】
本日は昼過ぎにオーストラリアの政策金利の発表が予定されています。政策金利は据え置きが濃厚で声明文の内容に焦点が集まります。
欧州時間にはユーロ圏の製造業PMI、雇用関係の指標が並びますが、昨日のユーロの底堅さを見ると、よほど弱い結果とならない限り下押し材料にはなりにくいと考えられます。
米国時間にはISM製造業PMIの発表が予定されています。3月の他の製造業関連は比較的良好なものが多かったことから市場の期待は高まっていることから、ネガティブサプライズになった際はインパクトが大きくなると予想されます。逆にポジティブな結果となった場合は市場のリスクオン地合いが大きく高まると考えられます。

【本日の予定】
08:50 3月日銀短観
10:00 中国3月製造業PMI
10:45 中国3月HSBC製造業PMI(改定値)
12:30 豪準備銀行(RBA)政策金利発表
12:45 10年国債入札(2兆4000億円)
16:55 独3月失業者数・失業率
16:55 独3月製造業PMI(確報値)
17:00 ユーロ圏3月製造業PMI(確報値)
17:30 英3月製造業PMI
18:00 ユーロ圏2月失業率
18:30 習近平・中国国家主席講演
21:30 キム世界銀行総裁講演
23:00 米3月ISM製造業景況指数
23:00 米2月建設支出
23:00 米4月IBD/TIPP景気楽観度指数
翌1:15 ファンロンパイEU大統領講演

OANDA Japan   オアンダ ジャパン<本記事ご協力>
OANDA Japan株式会社
チーフストラテジスト 佐藤甲様
佐藤甲|OANDAJapan チーフストラテジスト

佐藤 甲

OANDAJapan㈱チーフストラテジスト。 NY時間を中心にディーリング業務を担当し、2012年より現職。ファンダメンタル、テクニカル、時にはシックスセンスを駆使し相場を斬る。夢と希望と情熱あふれる熱血相場師!風貌はラテン系だが、異性には奥手。日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト