FXコラム

2016年の金融市場

【著者】

ブルームバーグが2015年金融市場の大きなトピックをまとめた。

1、アップル社の時価総額が7750億ドルと、最大記録。
2、ネットフィックスがS&P500の中で、最大の値上がり率。
3、投資適格社債の発行が初めて1.31兆ドルに達した。
4、投資不適格債券市場が2008年以降で初めての損失。
5、M&Aの発表が4兆ドルを超えた。
6、100億ドル以上の巨大企業買収が過去最大。
7、ファイザーによるアレルガンの1837億ドルの買収が今年の最大取引。
8、ブラックストーンは最大件数の買収を発表した。
9、米IPOでの資金調達は2009年以降で最低。
10、株式発行が1兆ドルを超え、過去最大。
11、ベンチャーキャピタル投資が前年比39%増で過去最大。
12、ベンチャーキャピタル企業が過去最大の60億ドルの取引を行う。
13、2009年以降で最大の人員削減。
14、5つの企業だけで、全米のレイオフの半数以上を占める。
  ヒューレーット・パッカード:8万5000人
  シュルンベルジェ:2万人
  ベーカー・ヒューズ:1万4000人
  マイクロソフト:1万人
  シェブロン:9000人
  その他全部:13万1000人
15、1億ドル以上の米ミューチュアルファンドで、25%以上のリターンは2つだけ。
16、ヘッジファンドは1%以下のリターンだった。
17、ベネズエラ国債が世界最大のリスクに。ドイツ国債はほぼリスクフリー。
18、大富豪の富が大きく変動。明暗が分かれる。

参照:2015, The year in Money

http://www.bloomberg.com/graphics/2015-the-year-in-money/

2014年末に米連銀による継続的な資金注入が終わり、市場へのドル供給がストップした。大量のカネ余り状態はそのままであるにしても、すでに債券価格や株価は高値にまで買われているので、それ以上に上げるには他からのエネルギーが必要だった。

それで私は年初に、2015年の相場は業績などを反映した物色相場になるとの予測を述べた。事実、S&P500は上げ下げはしたものの、結局は横ばい。ダウは小幅安。ナスダックはわずかながら上げた。また、米10年国債は小幅安だが、2年国債は40ベイシス・ポイント以上売られ、ジャンク債は急落した。商品相場も大きく下落した。

上記のトピックに見られるように、実体経済でも大きく明暗が分かれた。カネ余りを背景に企業買収が進んだが、債券や株式での資金調達も記録的で、その分、市場から資金が吸い上げられた。銘柄間でも明暗が分かれることになった。

2016年はこの傾向が加速する。

なぜなら、日欧中国からの資金供給が継続する見込みなのに対し、米国の利上げがそれらの資金を吸収する可能性が高まるからだ。米国内では投資不適格を筆頭に、債券市場から資金が流出する。

不透明な要因は多い。地政学的リスク。米大統領選挙。日本も参院選がある。中国元の動向。商品相場。新興国市場。ベネズエラなどの債務国の動向。ジャンク債市場などだ。中国企業の社債も債務不履行が増加する見通し。

もっとも考えやすいのは、米国の1年以内の短期金利商品に資金が滞留すること。世界的に業績見通しの良い株式が買われること。商品相場が底打ちすることなどかと思う。

【みんかぶマガジン】矢口氏のコラム
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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。