日銀「金融システムレポート」から

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FXコラム|2014/04/28

2014年4月号の日銀「金融システムレポート」を見ると、銀行、特に大手行は外国証券投資に熱心なことが分かる。

「図表Ⅲ-4-36 有価証券投資残高」で分かるのは、大手行は2008年くらいから国内債投資を急激に増やすが、2012年以降は急減する。
現状では、国内債投資が約100兆円、うち国債が約90兆円となっている。一方、外国証券投資は2010年くらいから増え始め、2014年に入っても増加中だ。現状では40兆円近くの外国証券を保有している。

地域銀行は2009年くらいから国内債投資を急増させる。現状では約73兆円。うち国債は42兆円ほどだ。こちらは目立って国内債投資を減らしていない。一方、外国証券投資は2012年半ばから急増する。現状では9兆円弱の保有だ。

信用金庫はグラフにある2005年以降、ほぼ一貫して国内債投資を増やしている。現状は34兆円ほど保有。うち、国債は10兆円ほどなので、より利回りの高い、地方債や電力債、社債などに投資していることが分かる。外国証券投資は2008年以降減っている。ピーク時は5兆円ほど保有していたが、現状では3兆円強の保有だ。

参照図:図表Ⅲ-4-36 有価証券投資残高
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ここで気になるのが為替レートに対する影響だが、それほど大きくないと見ていていいだろう。というのは、為替リスクを取る部署と、金利リスクを取る部署とが分かれているからだ。かっては、為替リスクは持ち高規制により、大手行ですら円売りでの外貨保有は小さかった。午後3時半の時点での持ち高が決められていたので、直前に大口のオーダーを持ち込み、銀行いじめをする悪い奴らもいた。今は、そんな規制は撤廃されたが、リスクを多重に取ると、リスク管理が不十分になる恐れがあるので、別々に取るのが基本だ。

つまりほとんどの場合、外貨を短期金利で借りて、外貨の長期金利で運用するので、為替はからまない。

しかし、地域銀行の外国証券投資は2012年半ばから急増と、ドル円の動きと一致しているので、地域銀行が為替益と、金利差益の両方狙い(いわば円キャリートレード)で外国証券投資を行っている可能性は否定できない。地域銀行のリスク管理は甘い傾向もあるからだ。

また、信用金庫の外国証券投資が2008年以降減っているのは、リーマンショック以降、外貨の調達が困難になったことも一因かもしれない。

参照:金融システムレポート(2014年4月号)
http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr140423a.pdf

[GMO]

矢口 新

独自テクニカルで『相場のタイミングを捉える』 矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。