FXコラム

外国為替市場の不正操作疑惑で、世界主要6行に総額43億ドルの罰金

【著者】

世界の金融システムを操るのは容易い。友人たちの助けがあればいい。英米の規制当局は水曜日、一握りの大手銀行の仲良し外為ディーラーたちが、オンラインの私的チャットルームを用いて連携して売買を行い、自分たちの有利になるように通貨レートを動かしていたことを明らかにした。

参照:How to game the $5.3 trillion currency market (英字サイト)
http://money.cnn.com/2014/11/12/investing/currency-trading-foreign-exchange/index.html?iid=HP_River

外国為替市場の不正操作疑惑をめぐり、米英スイスの規制当局は世界主要6行に対し総額約43億ドルの罰金を科したと発表した。この日に発表された罰金を含むと、外為市場の不正操作疑惑をめぐり過去2年間に主要銀行に対し科された罰金の総額は100億ドルを超える。また、英国の重大不正捜査局は同疑惑に関して刑事捜査を進めている。加えて、関与が疑われる銀行に対しは顧客から民事訴訟が起こされる可能性もある。

罰金が科されたのは、シティグループ、UBS、HSBC、RBS、JPモルガン・チェースとバンク・オブ・アメリカ。

英当局は、UBSに3億7100万ドル、シティグループに3億5800万ドル、JPモルガンに3億5200万ドル、HSBCが3億4300万ドル、RBSが3億4400万ドルと、大手5行に対し総額17億6800万ドルの罰金を科した。バークレイズは引き続き調査中として、今回は含まれなかった。ドイツ銀行については、罰金は科さない意向を示した。

スイス当局は、UBSに1億3400万スイスフラン(1億3900万ドル)の支払いを命じた。またUBSの外国為替部門と貴金属部門の従業員は世界中で、2年間にわたりボーナスが基本給の2倍の水準に制限される。

米は商品先物取引委員会(CFTC)がシティグループとJPモルガンにそれぞれ3億1000万ドル、RBSとUBSにはそれぞれ2億9000万ドル、HSBCには2億7500万ドルの支払いを命じた。

米ではほかに、通貨監督庁(OCC)がバンカメに2億5000万ドル、JPモルガンとシティグループにそれぞれ3億5000万ドル。総額9億5000万ドルの罰金を科したと発表した。バンカメに対し罰金を科したのは各国当局のなかでOCCだけだった。

米国では司法省と連邦準備理事会に加え、ニューヨーク州の金融規制当局がなお調査を続けているため、罰金の総額はさらに膨らむ可能性がある。

外為市場の1日の取引高は約5.3兆ドル。各国当局は約1年前に調査に着手、2008年から2013年10月までの取引を調べていた。

矢口がディーラーでいた頃は、債券市場でも為替市場でも、いわばムラ社会だった。特に顧客に値を建てるマーケットメーカーは、同業他社の情報なしに値を建てると損失を出す恐れがあるので、スクリーン上の目からの情報だけでなく、電話やスピーカーでの耳からの情報も欠かせなかった。ディーラーたちにとっては、仲間をつくることも仕事の1つだったのだ。

もっとも、当局や顧客からの情報を簡単に漏らしているようでは、口の軽い奴と見なされ、一時的には重宝されても、いずれは信用をなくしてしまう。当局や顧客に対しても同様で、市場の情報を何もかも漏らして有難がられるのは一時的だ。そして、生の情報だけでは、その価値は半分でしかない。そこに意味付けや、見通しなどの付加価値を加えて、はじめて使える情報となる。そして、付加価値が高まるにつれて、相対的に生の情報の価値が下がっていく。思えば、私などは30数年間、そんなことを繰り返している。

世界主要行のほとんどに罰金が課せられたというのは、どこかが明らかな不正を行ったというより、ムラ社会の慣行にメスが入ったと考えた方が自然かもしれない。ドイツ銀行や邦銀が入っていないのは、外為市場で大手と見なされていないか、ムラ社会に加わっていないのだ。

ロンドンにいた頃は、現地の外資系や日系の日本人ディーラーたちが月1のペースで集まり、飲み会を重ねていた。飲むと必ず上半身裸になる奴、深夜の通りで車の上を走る奴などもいて、楽しい集まりだった。他人の迷惑を顧みない、そんなムラ社会の慣行にメスが入るのは時間の問題だったかと思う。

矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。