Q&A:価格上昇後に出た上放れタスキが、なぜ買い足なのか?

【著者】

:酒田五法について質問します。

上放れタスキ(上位)は、なぜ買い足となるのかがわかりません。陽線のあとにタスキ線で陰線、その後が、なぜ買いになるのか。

また下放れタスキ(下位)は、なぜ売り足となるのかがわかりません。陰線のあとにタスキ線で陽線、その後が、なぜ売りになるのか。

タスキ

どちらも逆のような気がするのでしょうか。特に理屈は考える必要はないのでしょうか。

面白い質問をありがとうございます。

「理より入るものは上達早く、業より入るものは上達遅し」と、千葉周作は申したそうです。

「理より入るものは、相手の行動を考え想像しながら、それに対応する技を工夫しながら稽古をするものだ。だから臨機応変に処理できるようになる。しかし、業から入るものは、打たれながら技を覚えるので考えることが少ない。当然上達までには時間がかかる。ただ、理と業は車の両輪だから一方だけ学べば良いという物でもない」と続きます。

私が、相場は経済学よりは勝負事やスポーツに近いと感じるのは、剣豪や将棋の名人、卓越したスポーツ選手の言葉の方が、エコノミストの言葉より相場に当て嵌まるからです。

何事にも理屈を考えるのは、上達への近道です。テクニカル指標は信じるものではなく、相場を理解する補助となるものです。そうでないものは、相場を知らない人がつくったテクニカル指標で、むしろ理解の妨げになると考えています。理屈を考えるのは正しいアプローチ方法だと思います。

基本は、高値からの切り下げは、上値の重さを暗示します。その意味では、価格上昇後の(上位)で出た上放れタスキが、なぜ買い足となるのかが分からないのは、理に叶った疑問です。同様に、価格下落後の(下位)で出た下放れタスキが、なぜ売り足となるのかが分からないのも、理に叶った疑問です。

では、こういう見方はどうでしょうか?

放れとは、窓開けです。窓開けは「勢い余って」の現象です。その勢いとは、上放れとは、買いの勢い。下放れは、売りの勢いです。なので、窓開けへの対応は、窓埋めを待って、買いや売りを行うことです。高値安値は追いかけないが、勢いの継続を期待して、押し目買い、戻り売りをすることです。

そう考えれば、上放れタスキ(上位)は買い足、下放れタスキ(下位)は売り足だと、理屈で理解することができます。

では、実戦ではどうでしょうか? 上放れタスキで買ってみて、前の高値を抜けなければダブルトップとなります。下放れタスキ売ってみて、前の安値を抜けなければダブルボトムとなります。

つまり、勢いを買ってみるのは正解だが、高値を抜くまでは「緊張」です。抜けなければドテンです。

こうしてみると、抜けても、抜けなくても、今後の展開では大動きとなる売買チャンスであることが分かります。

疑問を疑問のままで残さなかったおかげで、また1つ、相場の理解が深まったように思えませんか?

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矢口 新

独自テクニカルで『相場のタイミングを捉える』 矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。