ロシア、日ロ間にガス管建設提案

ロシア政府が9月、ガス資源が豊富なサハリンと北海道との間の宗谷海峡を経由する海底パイプラインの建設を日本側に提案していたことが明らかになった。11月10~11日のAPEC首脳会議の際に予定される日ロ首脳会談の議題となる可能性があるという。

報道では、「安価なガス供給をちらつかせ、ウクライナ問題を巡るG7の対ロ包囲網を切り崩す狙いがある」とされているが、安価なガス供給は日本側にとっても願ってもない話だ。

政府は14日午前、物価問題に関する関係閣僚会議を開き、北海道電力の家庭向け電気料金の上げ幅を平均15.33%とする査定案を了承した。値上げは11月からで、冬場の需要期を直撃する。増税後の個人消費が落ち込む中、可処分所得の減少は、更なる追い打ちとなる見通しだ。

北海道電力は値上げの理由を、原発再稼働が遅れているためとしている。それは住民に「当面の生活への直撃」か、「将来の壊滅的被害の可能性」かの、苦渋の選択を迫っているに等しい。北海道は他の日本列島と同様、地震も火山活動も盛んだからだ。大震災後の値上げは2度目、原発再稼働がなければ更なる大幅値上げも見込まれ、いずれ「当面の生活への直撃」に耐えられなくなる時が来る。政府の狙いがそこにあるとすれば、ロシアによる安価なガス供給は日本人にとっては願ってもない話でも、日本政府にとっては迷惑な話となる。

ドイツが成長見通しを引き下げた。ウクライナ情勢が重石となっている。英文メディアでは、「プーチンのせいで、ドイツ経済が落ち込んだ」との見出しもあった。正確には、対ロシア制裁のためで、それは米国が主導したものだ。ドイツ、フランスなどは、当初、制裁に反対していたが、途中から積極的に制裁に加わり、案じていた通りに、経済が落ち込んだ。つまり、ドイツ政府は経済成長よりも、ロシア制裁を選んだということだ。

日本政府も同じ問題に直面している。電気代大幅値下げによる経済成長か、ウクライナの民族問題にかこつけてのロシア制裁かだ。もっとも、ロシア制裁しても、ウクライナの民族問題は解決しない。

米国との関係重視を挙げるなら、「当面の生活への直撃」や経済成長を説くことで、決して「裏切り」ではないと説明すればいい。そういった国益を守るために政治家がいると思いたい。

矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。