ギリシャ国民投票の見どころ

7月5日(日)にギリシャでは国際債権団により示された提案を受け入れるかどうかの国民投票が行われる予定となっています。この国民投票の行方で不透明な状態が続くギリシャ情勢に関して、支援が再開するか、デフォルトユーロ離脱に向かうか、ある程度見通しがつく可能性が高いということで為替市場でも注目度が高いイベントとなります。週末に行われるということもあり、結果次第では週明けから窓空きスタートとなる可能性もあるので週跨ぎでポジションを保有される際はポジション調整などのリスク管理の徹底をお勧めします。

なぜ、国民投票が必要になったか?

債務超過に陥ったユーロはEUIMFなど支援を受けながら、緊縮財政を続けてきました。

その影響もあり、ギリシャの成長率は低下、失業率も高い状態が続き、ギリシャ国民の不満が高まりました。
そして、1月末のギリシャの総選挙で反緊縮財政を主張するSYRIZAが勝利し、チプラス政権が誕生し、支援のために要求される緊縮策を緩やかにするための交渉が債権団との間で行われました。

しかし、6月末のIMFへの支払い、現行の支援の終了が迫る状態となりましたが、度重なる交渉も合意を得ることはできず、難航する状態となりました。債権者側は、チプラス政権のワガママを許すとスペイン、ポルトガルなどを中心に反緊縮勢力が活気付き、自国の政局不安につながるリスクもあるため、厳しい条件を飲ませる、またはデフォルトまで追い込んでも反緊縮勢力を否定したいということもあるらしく、多少の譲歩こそあれ、強気の交渉を続けてきました。

チプラス政権としては反緊縮の公約があるため引くに引けない状況ですが、これ以上、ワガママを通してユーロ離脱、国民の生活を危険にさらすことになると結局は支持を失うという状況に陥るため、その選択を国民投票の結果に委ねるという方法を選びました。それを受けてユーロ圏財務相会合では現行の支援を6月末で終了し、ギリシャは月末のIMFへの支払いを延期することとなり、不安が高まっています。

国民投票の見通し

現在の世論調査では債権団の改革案受入れに賛成が若干優勢となっているものの僅差となっており、フタを開けてみなければわからない状況となっています。ただ、詳細を見るとユーロ離脱を望んでいる国民は少なく、投票が近づくにつれ、反対=ユーロ離脱というイメージが強まると賛成票が優勢になるかもしれません。チプラス首相は反対を求めているのに対し、野党はチプラス首相の交渉失敗、ユーロ離脱後の恐怖を掲げ、賛成票を勧め、政権奪回へ向けた地ならしを進めることが予想され、ギリギリまで論争が続くことが予想されます。

余談ですが、現在、ギリシャは資本規制により、銀行の営業停止など、混乱状態であるため、国民投票へ向かう交通費などを心配する声もあり、低投票率となる可能性などの懸念なども出始めています。

為替相場への影響

ギリシャ情勢に関しては、相場への影響は複雑で予想は難しいですが、初期反応とその後の動きで変化すると考えることができます。

賛成多数となり、支援協議が進展へと向かう可能性が出た際のユーロ相場の初期反応はユーロ買いとなることが予想されます。そしてその後は、欧州株式市場がリスクオンで上昇となる場面ではヘッジのユーロ売りが多く発生することが予想され、ユーロの上値が重くなっていくことと予想することができます。ただし、その後の交渉で、また揉めるようであれば不安定な推移がしばらく続くという可能性も考えられます。

逆に反対多数となった場合は初期反応はユーロ売りと考えられます。そして、株式市場が下落するような場面ではヘッジ外しのユーロ買いが出てくることが予想されますが、一旦悪材料出尽くしとなると、リスクオンの流れとなり、ユーロ売りが強まる可能性も十分にあると思います。

市場はギリシャのデフォルト、ユーロ離脱の悪影響を恐れているというよりも、むしろ結論が出ず不透明な状態が続いていることへのストレスの方が強いと考えられ、いずれにせよ、結論が出れば、リスクを取りに行く相場へと移っていくと考えられます。リスクを取りに行く相場となれば再びユーロ売りが強まるかもしれません。

OANDA Japan   オアンダ ジャパン<本記事ご協力>
OANDA Japan株式会社
チーフストラテジスト 佐藤甲様
佐藤甲|OANDAJapan チーフストラテジスト

佐藤 甲

OANDAJapan㈱チーフストラテジスト。 NY時間を中心にディーリング業務を担当し、2012年より現職。ファンダメンタル、テクニカル、時にはシックスセンスを駆使し相場を斬る。夢と希望と情熱あふれる熱血相場師!風貌はラテン系だが、異性には奥手。日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト