今週の見どころ イベントに挟まれた週

【著者】

先週からの流れ

先週はECB理事会で発表された追加緩和が市場が想定するほど大きなものとはならなかったことで失望のユーロ買い戻しが強まり短時間で急騰する動きとなりました。事前に発表されたユーロ圏の消費者物価指数の速報値が市場予想を下回ったことや、ドラギ総裁をはじめとするECB関係者のコメントやこれまでの市場の期待以上の思い切ったドラギ総裁の決断などが市場の大規模緩和への期待を膨らませ、ユーロ売りが溜まった状態であったため、ストップ買いも絡めた大きな上昇となりました。

米国ではイエレン議長をはじめとするFOMCのメンバーのコメントや先週末に発表された米国雇用統計が底堅さを見せたことで、来週のFOMCでの利上げ開始の可能性は高まりました。債券市場では年内の利上げはほぼ織り込まれ、今後は利上げペースへと注目点がシフトしていくことが想定されます。

また、金曜日に行われたOPECの総会では原油の生産量の調整(減産)とはならず、原油価格が下落する動きとなりました。今後、イランの経済制裁解除となると原油の供給過剰状態の長期化が進み、原油価格は上値の重い状態が続きそうな気配がしています。為替相場ではカナダドル等の原油価格に敏感な通貨ペアや、低インフレが続く先進国のインフレ率押し下げにより、各国の中央銀行の金融政策への影響、また、エネルギー産業下落によるリスク回避など、さまざまな影響が出てくることが想定されます。

イベントに挟まれた調整期間

今週は週末に米国小売売上が予定されている他、目立つイベントは予定されておらず、来週のFOMC待ちの状態となることが想定されます。そのため、今週は、先週のイベントで大きく上昇したユーロに調整売りがどの程度入るかに、まずは注目したいところです。市場ではユーロ売りのポジションを保有し、逃げ遅れた参加者も少なくないと考えられ、下がったところではやれやれ買いが出てくる可能性もあり、下げ渋る可能性も考えられます。
また、再上昇するようであれば、戻り売りを狙った参加者のストップ買いも併せ、さらに上昇が勢いづくというシナリオも有り得ると考えられます。

年内最後の大きなイベントとなるFOMCを来週に控え、それが終わるとクリスマスとなり、市場の流動性が低下するシーズンとなります。「FOMCでの利上げ開始が織り込まれている」と考えると、その結果でさらにドル買いが進む余地は限られていると考えることもできます。大きなドル買いポジションを抱えている参加者は早めにポジションを調整し、利益確定の動きが進み、ドルの上値が圧迫され、FOMC前に逃げ遅れるのを恐れたドル売りが加速するというシナリオもゼロではないと考えられます。

米国小売売上

今週末に発表される米国小売売上は、先行する自動車販売台数などは引き続き堅調地合いを続けているほか、年末商戦の前倒しなどで、冴えない結果となった前月からの反発に期待が高まります。また、米国の年内利上げ開始が固まりつつあるため、多少市場予想を下回る程度では流れを変えることは難しいと考えられます。

ただし、市場の注目が年内の利上げ開始から、利上げペースに移りつつあり、冴えない結果となると先週の冴えないISMの結果と併せ、利上げペースが相当緩やかなものになるといった議論が強まり、ドル売りが強まる可能性も挙げられます。

その他経済指標

その他、本邦ではGDP改定値、英国ではBOEの金融政策委員会、鉱工業生産、オーストラリアでは雇用統計、中国では貿易収支、消費者物価指数などの発表が予定されています。本邦のGDP改定値で上方修正となれば日銀の金融緩和の期待が多少低下し、円買いで反応する可能性が挙げられますが、緩和期待自体もそれほど大きくないため、影響は限定的なものになると考えられます。

BOE金融政策委員会では同時に発表される議事録での利上げ賛成票の増減や利上げに前向きな議論が行われているか、慎重な議論を行っているか注目が集まり、発表前後はポンドを中心に大きく動く可能性があります。

オーストラリアの雇用統計は、前回強い結果となっていただけに反動減となる可能性も挙げられます。テクニカル面では豪ドルの上昇一服感も出始めているため併せて注意が必要です。

OANDA Japan   オアンダ ジャパン<本記事ご協力>
OANDA Japan株式会社
チーフストラテジスト 佐藤甲様
佐藤甲|OANDAJapan チーフストラテジスト

【闘魂注入】シュラスコ佐藤の大胆予想! 佐藤 甲

OANDAJapan㈱チーフストラテジスト。 NY時間を中心にディーリング業務を担当し、2012年より現職。ファンダメンタル、テクニカル、時にはシックスセンスを駆使し相場を斬る。夢と希望と情熱あふれる熱血相場師!風貌はラテン系だが、異性には奥手。日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト