マーケット

今週の見どころ 市場のリスク許容度の強弱

【著者】

先週からの流れ

2016年のスタートは、中国の景気減速懸念を背景にしたリスク回避色の強いものとなりました。昨年から中国の景気減速を懸念する声が強まっていたところに、年初発表された製造業PMIが悪化したことがキッカケとなり中国の景気減速懸念が一気に強まりました。中国株式市場、人民元が大きく売られる展開となり、原油市場では根強い供給過多懸念を背景に上値の重い推移が続きました。
また、中東ではサウジアラビアとイランの関係悪化との報道や北朝鮮の核実験実施などの地政学リスクの高まりも市場のリスク回避色を強める材料となりました。

株式市場では軟調な推移が続き、為替相場では円やユーロが選好される状態となり、資源国通貨や新興国通貨は軟調な推移となっています。

主要通貨ペアの強弱
通貨別強弱

また、先週末に発表された米国雇用統計非農業部門雇用者数変化が市場予想を大きく上回る結果となたものの、平均時給が伸びを欠く状況であったため、発表直後はドル買いが進んだものの、その後は逆にドル売りが強まるような展開となりました。

今週も市場のリスク許容度の強弱に注目

今週も先週に続き市場の最大の注目は、中国景気減速懸念を中心としたリスク回避色の強い相場が続くかどうかと考えられ、株式市場や人民元相場、原油相場などの状況を確認しながらの神経質な相場展開が続くことが想定されます。週中盤には中国の貿易収支の発表も予定されており、冴えない結果となると景気減速懸念が強まる可能性が挙げられます。

先週の動きを見ると昨年8月のように人民元の基準値が発表となる日本時間午前10時15分前後に大きく反応していることが多いため、今週もこの時間には一応の警戒が必要です。

また、引き続き中東情勢にも注意が必要です。今回のリスクオフの流れを強めた要因の一つとして、中東勢が原油価格の下落による財政の圧迫、また、情勢悪化による資金需要のためのオイルマネーの引き揚げも挙げられているため、原油価格の下落が続いたり、情勢悪化が進むとこの動きが活発化するかもしれません。

米国経済指標

今週は米国の小売売上、生産者物価指数、鉱工業生産などの経済指標の発表が予定されています。現状では、中国景気減速懸念が市場の最大の焦点となっていることもあり、米国の経済指標に対する反応は若干薄れており、大きなサプライズとならない限りは一喜一憂となる可能性が高いと考えられますが、製造業関連で引き続き冴えない結果が続く、労働市場に改善が見られたり、ガソリン価格下落により可処分所得が増加しているにも関わらず消費が伸び悩むようであれば米国の年4回の利上げペースを疑問視する声が強まり、ドルの上値を圧迫する材料になると考えられます。

BOE金融政策委員会

今週は英国にてBOEの金融政策委員会が予定されています。今回はインフレレポートの発表は予定されていませんが、声明、議事録の内容次第で大きく動くことが想定されます。昨今の中国景気減速懸念や原油価格の下落の影響をネガティブにとらえているようであればポンドの上値を圧迫する材料になると考えらえます。また、議事録での利上げ賛成票の数に変化が見られるようであればインパクトがさらに大きくなると考えられます。

ドル円の上昇トレンドに黄色信号点灯!?

昨今のリスクオフの流れを受けて円買いが進み、ドル円は上値の重い推移を続けていますが、週足チャートで見るとアベノミクスが騒がれて以来続いてきたドル円の上昇トレンドに変化が起きていることが確認できます。

下の週足チャートを見ると、昨年6月に126円に迫る動きとなりましたが、その後、その高値を更新することができず、上値の重い推移が続いています。さらには2012年からの安値を結んだトレンドラインを先週、終値ベースで割り込む動きとなっており、上昇トレンドに黄色信号が点灯しはじめています。そして、さらに下落が強まるような状態となり、昨年8月のサポートとなった116付近を割り込むような動きとなってしまうと完全にトレンドが崩れ、下落が加速するというシナリオが大きく浮上します。

ドル円週足チャート
ドル円

また、投機筋の通貨先物のポジション状況を見ても先週火曜日の時点で円買いポジションが優勢になったばかりで、その後の下落で円買いが増えたとしても、さらなる買い増し余力は残っており、116円を割り込むような動きとなった場合には円買いが加速しそうな状態となっています。

こうなってくると「ニチベイのキンユウセイサクのスタンスのチガイが・・・・」といった理屈で考える暇もなく下がるから売るという状態となり、短期間で大きな下落となる可能性も有り得るため注意が必要です。

投機筋の通貨先物ポジション(JPY)
投機筋の円売りポジション

OANDA Japan   オアンダ ジャパン<本記事ご協力>
OANDA Japan株式会社
チーフストラテジスト 佐藤甲様
佐藤甲|OANDAJapan チーフストラテジスト

佐藤 甲

OANDAJapan㈱チーフストラテジスト。 NY時間を中心にディーリング業務を担当し、2012年より現職。ファンダメンタル、テクニカル、時にはシックスセンスを駆使し相場を斬る。夢と希望と情熱あふれる熱血相場師!風貌はラテン系だが、異性には奥手。日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト