注目PickUp

今週の見どころ 雇用統計の余波等

【著者】

先週からの流れ

先週は金曜日に発表された米国の9月の雇用統計は非農業部門雇用者数変化が市場予想の20万人に対して14.2万人となったことに加え、前月、前々月分も下方修正、賃金も伸び悩み、労働参加率も低下と散々な結果となり、少し前にFOMCメンバーの年内利上げに関する積極的なコメントで前のめりになった米国の利上げ観測は大きく後退となりました。

相場の反応は初期反応は素直にドル売り、その後は株式市場が原油価格の反発、利上げ先送りなどが意識されたらしく、底堅い推移となるのに併せてドルが買い戻される展開となりました。

日、英、豪の金融政策発表

今週は日銀の金融政策決定会合、英国BOEの金融政策委員会、オーストラリアのRBA理事会と各国で金融政策を決定する会議が続きます。
いずれも市場の予想は金融政策の据え置きとなり、サプライズは期待しにくいですが、声明文の内容や総裁のコメント等で動きがありそうです。

日銀の金融政策決定会合は会合後の黒田総裁の記者会見に注目が集まり、これまで物価見通しに関して強気姿勢を貫いている日銀が、今回も強気姿勢を貫けるかどうか、中国をはじめとする新興国景気減速に関してや、冴えない本邦の鉱工業生産などの経済指標への評価などから追加緩和の手がかりを探る状態となると考えられます。月末の金融政策決定会合での追加緩和を期待する声も増えているため、なにも手がかりが得られないようであれば、失望売りとなることもあるため注意が必要です。

BOE金融政策委員会は同時に発表となる議事録の内容に注目が集まります。前回1票の利上げ賛成票に変化が起きているかどうか、昨今の中国景気減速に対して、引き続き強気な姿勢を維持できているかなどで利上げ開始時期が後退するような内容となると、ポンド売りが強まると考えられます。

RBA理事会では現状の政策の効果を見るためにも変更なしが予想され、注目は声明文の内容になります。消えた豪ドル高牽制や追加緩和の可能性などが示されたり、中国の景気に関してネガティブな見通しを示すようであれば、豪ドルの上値圧迫材料となると考えられます。

米国利上げ観測

冴えない雇用統計の結果を受けて、来月のFOMCでの利上げ開始観測は絶望的となり、また、年内の利上げ観測は後退しています。今週はこの後退した年内利上げ観測を引き戻すことができるかどうかに注目が集まります。
ISM景況指数などの経済指標に加え、今週は数人のFOMCメンバーのコメント機会が予定されています。彼らの口から、年内利上げの可能性が出てくるかどうかで一喜一憂する場面があると考えられます。
なかでも注目は金曜日のロックハート・アトランタ連銀総裁、エバンス・シカゴ連銀総裁、木曜日のウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁といったFOMCの投票権を持ったメンバーのコメントとなります。

また、今週はFOMCの議事録の公表が予定されていますが、今回の議事録はイエレン議長の記者会見付きの会合であったため、目新しい内容とはならない考えられ、さらに、今回の弱い雇用統計発表前なので材料としては古い内容となるため影響は限定的になると考えられますが、それでも公表前後は無駄に動く可能性があるので発表前後は注意が必要です。

今週のPickup通貨

0.73を超えたら要注意

今週の注目通貨は豪ドルです。

ファンダメンタルズ材料を見るとRBAの豪ドル高牽制がなくなり、また新政権への期待などが下支え材料となるものの、引き続き資源価格は低迷、中国の経済指標は冴えないものが続き、豪ドルを積極的に買うような材料は乏しく、ファンダメンタルズ面からは買いにくい状況が続いています。

テクニカル面でも長い下降トレンドが続き、上値の重さが目立つチャートとなっています。

ただし、ここにきて、9月7日の安値となった0.6907付近を下回ることなく盛り返すなど、反発の兆しが出始めています。また、先週火曜日時点での投機筋の通貨先物のポジション状況を見ると売りが溜まっている状況となっており、その他の投機のポジションも売りに傾いていることが想定されます。

ここで思い出したいのは少し前のユーロドルの動きです。
ファンダメンタルズではECBの量的緩和でユーロ売りが進み、テクニカル面でも下降トレンドが続いていました。投機の売りポジションは増加し、パリティーは時間の問題と騒がれていました。
しかし、その後の動きは市場の予想通りにはいかず、下げ渋り、逆に買い戻しが買い戻しを呼ぶショートスクイーズが幾度と繰り返され、短期的に大きな上昇となる場面が多々みられました。

これに近い減少が豪ドルでも起こりかねないと筆者は考えます。市場のポジションが対ドル以外でも豪ドル売りに傾いている状況でさらに年末に向けてポジションの解消が進む可能性もあること、テクニカル面では安値更新に失敗。ファンダメンタルズ面ではRBAが現在の豪ドル水準に不満がない状況、米国利上げ観測が雇用統計の結果で若干後退など、豪ドル売りの材料が弱まっていることなどを考えると、一度火が付くと面白いかもしれません。

テクニカル面では9月のレジスタンスとなった0.728、さらには切りの良いよいところで0.73付近を上回ると本格的にストップ買いがストップ買いを呼び短期的に大きな上昇となる可能性があるため注意が必要です。

豪ドル

OANDA Japan   オアンダ ジャパン<本記事ご協力>
OANDA Japan株式会社
チーフストラテジスト 佐藤甲様
佐藤甲|OANDAJapan チーフストラテジスト

佐藤 甲

OANDAJapan㈱チーフストラテジスト。 NY時間を中心にディーリング業務を担当し、2012年より現職。ファンダメンタル、テクニカル、時にはシックスセンスを駆使し相場を斬る。夢と希望と情熱あふれる熱血相場師!風貌はラテン系だが、異性には奥手。日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト