FXコラム

所得税と消費税 -2-

【著者】

前回記事:所得税と消費税 -1-

ここで税収の内訳をみると、最大の財源は赤色線で描かれた所得税となっている。黄色線の法人税とは、法人の所得金額などを課税標準として課される税金で、広義の所得税の一種だ。これが、消費税を導入した平成元年にピークをつけ、現在はその半分もない。企業経営者の団体が概ね消費増税に賛成なのは、法人税を払いたくないからなのかと疑いたくなるくらいだ。
所得税の方も、導入2年後にピークをつけた後は、右肩下がりの展開となっている。これで見ると、日本の税収の低迷は、消費税導入後に広義の所得税が急減したことにあることが分かる。

参照図:税収の内訳
税収の内訳

グラフの陰の部分は景気後退期だ。景気後退期には、所得税も法人税も減少する。これは企業収益の悪化、給与所得の低迷などを勘案すると、十分に納得がいく。しかし、消費税導入後は、景気拡大期でも法人税収の伸びが弱く、所得税収に至っては横ばいか減少する。

一方で、税率を引き上げた消費税収は着実に増えている。これが、増税派が財政再建に役立つとする論拠だ。とはいえ、消費税収の伸びは景気拡大期、後退期に関わらず、ほぼ横ばいに推移する。このことは、8%から10%への増税では、消費税収は3兆円ほど増えることが予想できるが、それ以上でもそれ以下でもない。一方で、所得税や法人税は、これまでの例では、更に減少することが見込まれる。

このトレンドが続けば、日本の税収の最大の財源は消費税収となるが、それは税率を10%に引き上げても15兆円ほどでしかない。税収のボトムは平成21年度(2009年度)の38.7兆円だが、消費増税後は所得税収の減少により、景気後退期に落ち込むことはもとより、景気拡大期でも、税収がそれ程増えないような構造になってしまう恐れが生じる。つまり、税収の上限が40兆円を切るようなことも想定され、「財政再建はどうするんだ?」、「社会保障の財源はどうするんだ?」との懸念どころではない、恐ろしい事態が出現しかねないのだ。

(次回:所得税と消費税 -3-に続く)

【みんかぶマガジン】矢口氏のコラム
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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。