FXコラム

日本が景気後退入り、でも上げる株

【著者】

17日朝の第3四半期のGDP発表で、日本経済が消費税を引き上げた4月以降、2期連続でマイナス成長となったことが明らかとなった。2期連続でのマイナス成長は、公式的にリセッション(景気後退)入りと見なされるので、アベノミクス効果が早くも消え失せた結果となった。

当初、アベノミクスへの大きな期待であった規制緩和がほとんど進まず、公共投資にも限界があるなかで、金融緩和、円安効果だけの片肺飛行だけでは、消費税引き上げという景気悪化要因には打ち勝てないことが証明された。

私などからみれば、これは当然で、公共投資など政府が恣意的に選んだ分野でアクセルを踏んでも、日本経済の最大のエンジンである個人消費に増税というブレーキをかけていては、力負けしてしまう。これでは、政府の真意が前に進みたいのか、後ろに戻りたいのかが分からない。幸い、アベノミクスの主役である安倍首相自身は消費増税の弊害に気付いているようで、再増税先送りに動くようだ。

私は大きな政府(増税+経済政策)には懐疑的だ。今回も、増税+公共投資がネガティブな結果でしかなかったことが象徴的だ。企業収益、雇用市場の改善など、円安効果は大きいが、私の見方では量的緩和による要因よりも、燃料輸入急増による実需の円売り要因の方がはるかに大きい。こちらも政府の意向は原発再稼働で、燃料輸入急減、円高回帰となるので、経済成長には悪影響だ。政府には(減税+歳出削減)で、民間ができない大きな分野だけで働いて頂きたいと考えている。

先日、GPIFの今回の資産配分見直しに反対したという運営委員の1人が、「国債を減らすというような大きなリスクを取ることは、国民は望んでいない」と、語ったというものを目にした。

確かに、景気後退にも関わらず再増税しろという意見は多く、日本経済全体や国民の生活よりも、財政再建が重要だとするお国柄では、株式投資のリスクは大きく、国債保有の方が安全だと考える人がいるかもしれない。

一方、海外市場は日本の景気後退という悪材料にも関わらず上昇、S&Pなどは史上最高値を更新した。18日の日本株も反発している。株高を支えるのは、経済成長や、企業業績だけではないからだ。資金供給でも株価は上がるのだ。

私は、GPIFの資産配分見直しを高く評価している。
参照:リスク・オンしたGPIF
https://fx.minkabu.jp/hikaku/fxbeginner/gpif-incorporated-ratio/

理由は、国債中心では年金制度を維持できる利回りが得られず、過去に行ってきたような年金赤字補填国債発行、国民支払い負担引き上げ、受取り年金額引き下げ、受取り年齢先延ばしと、事実上の制度崩壊過程を続けることが不可避となるからだ。それでも良しとしてきた過去の歴代運営委員、今回の見直し反対委員は無責任極まりないといえる。

政府がインフレ政策を採っている時に、GPIFも資産運用リスクを大きくすることは正しい。そうでなければ、年金制度崩壊リスクを取ることになる。GPIFは私の資産も運用しているが、私自身ではリスクを取ることができない。せめて、リスクとは何かを知り、リスクを取れる運用委員でいて貰いたい。

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