低金利の円を自国通貨とする日本人はキャリートレードをすべき?

FX会社ではトルコリラ/円のスワップ金利狙いのセールスを、セミナーなどで盛んに推奨しています。新興国通貨のキャリートレードは危ないと言われていますが、いかがでしょうか。ブラジルレアル、トルコリラなどの下落を見ると恐ろしいです。

それとも、キャリートレードは世界的に見て金利の低い円を自国通貨とする日本国民は積極的に利用すべきなのでしょうか。FXでは長期投資になります。

スワップレートでは、金利差は価格差で相殺されるように働きます。このことは、自分と取引相手のどちらかが一人勝ちすることはなく、金利を好めば価格で失い、キャピタルゲインを好めば金利を失うことを表しています。どちらを好むかは、税率などによっても変わってきます。

一方で、日米金利差が拡大すると、円安米ドルにつながる可能性が高く、この場合には米ドルを持つことで、金利差もキャピタルゲインも得ることができます。もっとも、金利差はほぼ確実に得られますが、キャピタルゲインの方は不透明です。そこで、米国のファンダメンタルズを分析することで、金利差とリスクとが見合うかを判断することになります。

同じ事は、新興国通貨にも当て嵌まります。金利差が取れることはほぼ確実なのですが、それに見合ったリスクがあることを認識しなければなりません。

マイナス金利や、円から見てより低い金利の通貨への長期投資は問題外ですが、小さな金利差でも安心に思えるところと、大きな金利差だけど不安なところとの兼ね合いになります。ここのところは、人それぞれの資産状況や好みがあって、私が意見するところではないと思います。

1つご参考になるとすれば、通貨は株式や債券といった金融商品ではありませんので、換金せずに使用できます。つまり最悪の場合、トルコ旅行などで使用することができます。もっとも、その場合でもハイパーインフレになっていれば価値が減少しています。いずれにせよ、ファンダメンタルズ分析なしでの長期投資は博打に近いと言えるかも知れません。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。