ドル円は黒田ラインを超えられるのか

【著者】

6月10日に黒田総裁の「(実効為替レートで)ここからさらに円安はありそうにない」という発言(通称:黒田ショック)でドル円は1日に2円の急落となりました。

そして、今もその発言の前のレートには戻っていません。

黒田ショック
参考:ドル円122円台へ急落 今が買い場?

data5月末から年初来高値を更新し続けるドル円の上昇に、日本の輸出入企業は対応できておらず、その上昇に日銀が口先介入という「冷却材」を投入したかっこうとなりました。

(画像:Bloomberg

年初来高値は125.85円で決定か

こうなると、今後125円は簡単に越えられないのでは?という意見も多いのですが、これは時間の問題で秋には125円を明確に突破してくると考えています。

その理由としては、以下の3つが挙げられます。

1.好調な米国経済からくる年内の利上げ
2.GPIFらの外国株買い余力からくる円売り
3.生保や長期資金などによるドル買い

最近のホットな話題としては、FRBのイエレン議長が引き続き「年内利上げが適切」とコメントしていることと、GPIFの平成26年度の運用状況が公表されたことですね。

簡単に説明したいと思います。

好調な米国経済からくる年内の利上げ

まず、こちらはやはり2015年のメインテーマである米国の利上げ時期ということになります。

利上げ時期は、アメリカの雇用統計をはじめGDP、個人消費、小売売上高、消費者物価などの経済指標を基にFOMCで決定されます。

米国の雇用は平均20万人以上のペースで増加しており、平均時給も上昇しています。米国のGDPも引き続き好調を維持しており(第一四半期は毎年弱い数字)個人消費も好調ですので、利上げする環境は整っているといえるでしょう。

ギリシャ問題や中国バブル崩壊などの問題もありますが、今のところそれらが利上げ時期を後退させる材料になっているとは思えません。

GPIFらの外国株買い余力からくる円売り

6月13日にGPIFは平成26年度の運用状況を公表しました。
その結果は、運用資産額が137兆4,769億円、収益額が15兆2,922億円という素晴らしい結果でした。

そのなかで注目されたのが、GPIFのポートフォリオです。

昨年の10月より、GPIFはポートフォリオを下記の様にリバランスすると発表しました。
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今回、もしGPIFがリバランスを終えているとなると、「もうこれ以上の買い余力はない」と考える投資家が売りに転じると考えられていました。

しかし、結果は以下のように日本株3%、外国株式約4%、外国債券約2.5%ほどの買い余力があることが分かりました。
GPIF26年度末ポートフォリオ(参考:GPIF

日本には他にも3共済の年金運用がありますので、これらが外国株式と外国債券の買い付け余力はあと9兆円程残っているそうです。

これはとてつもない額ですので、やはり強烈なした支え材料になります。

生保や長期資金などによるドル買い

矢口さんの記事を(三角保合を2つ繋げる?)を見ても分かるとおり、生命保険会社や海外の年金を運用するような長期資金は高いところを買ってくるということはしません。

しかし、上のチャートを見ても分かる通り122円などに下がったところは、ヒゲが出現しやすく短時間で反発することが多くなっています。

こういった反発の後には、ニュース配信などで「長期マネーや輸出企業が買ってきたようです。」グッドネームからの買いがみられた。」などと報じらています。

なんといっても、米国の利上げというドル買い要因があり、金融緩和を続ける日本の円売り要因という分かり易いファンダメンタルズがあります。

これを投資の基本である「噂で買って事実で売る」という格言に当てはめると、最短でドル高円安トレンドが終了する時期は、利上げという「噂」が事実となった時ではないでしょうか。

以上の理由から、黒田ラインである125円は利上げ前には越えてきてくると考えられます。

ドル円がギリシャショックや中国株の下落の影響でもたついている122-123円台は、絶好の買い場ではないでしょうか。

川島寛貴|みんなの外為スタッフ

川島寛貴|みんなの外為スタッフ

みんなの株式の立ち上げ当初からプロデューサーとしてアライアンス業務を推進。みんなの外為、みんなの米国株、みんなのコモディティなど兄弟サイトの立ち上げも担当。通称「為替王子」