ドラギECB総裁の講演_8/28

【著者】

 ~ECBは歴史的転換点に?

先週の金曜日、注目されていたジャクソンホールにおけるカンファレンスでイエレンFRB議長とドラギECB総裁が講演をしました。イエレンFRB議長の講演については月曜日に書きましたので、今日はドラギECB総裁の講演について書きます。

ドラギECB総裁の講演の中で注目した文言は以下のようなものです。

「6月に発表した一連の対策が、実際に我々が目指すところの需要押し上げに繋がるものと確信しており、我々には政策スタンスをさらに調整する用意がある」
「中長期的なインフレ期待の強固な抑制を確保すべく、ECB理事会は非標準的な手段をも活用する方針」
「ECBは中期的な物価安定を確保するために、責務の範囲内において利用可能なあらゆる手段を行使する」

これらの発言はこれまでの延長線上のものではあるのですが、はっきりとさらに調整する用意がある、としています。加えて、原稿の中にはこれまで定番だった「必要なら」との文言が入っていなかったことから、一段と非標準的手段へ近づいたことを示唆するものでした。

「為替相場は既に総需要とインフレの双方を下支えする動きとなっており、それは欧米間で方向性の異なる政策によって継続するものと予想される」

これまでのユーロ安の動きを評価するとともに、今後もユーロ安の動きが続くとしていますが、これまではこういった為替相場への直接的な言及はあまりなかったものです。

さらにこれまでなかった主旨の発言としては

「ユーロ圏のインフレ期待が「大幅な低下を示した」」

とインフレ期待の低下によって実質金利が上昇することを警戒する発言がありました。

今週ECBは、資産担保証券買入れのアドバイザーとして、米大手資産運用会社ブラックロックを指名しました。来週の理事会では、資産買入れなどの開始が決定されないかもしれませんが、近い将来の実行に向けた大きな一歩ではあります。

さらに大きな変化は

「金融政策と並行して財政政策がもっと大きな役割を担うことが可能になれば、全体的な政策スタンスにとって助かるだろう。その余地はあると確信する」
「経済の両側面で行動が必要だ。つまり総需要の政策と並行して、国家の構造政策が求められる」

として、ユーロ圏各国政府、特にドイツを筆頭とする緊縮主義の国にに対して対して財政支出による需要拡大を求めました。

ECBはこれまでドイツ流の緊縮財政路線を支持してきたのですが、現在の景気、インフレ状況からは、ECBの緩和策だけでは脱出できない状況になっていることを認識し、各国政府に対して協力を求めるという大きな方針転換を図ったのです。こうした見方が正しいとすれば、ECBにとっては歴史的な方針転換と言えます。

ドラギECB総裁の強い危機感は次の言葉に込められているのではないでしょうか。

「欧州の通貨統合が極めて重大であることを忘れてはならない」

<本記事ご協力>

チーフストラテジスト 高野やすのり様
■メッセージ等はこちら
>>高野やすのり様プロフィールページ


デモトレ大会6回戦

高野やすのり|FXプライムbyGMO

プライスはすべてを織込む!チャートで世界を見通せ 高野 やすのり

慶應義塾大学商学部卒 チェース・マンハッタン、スイス・ユニオン、ファースト・シカゴなどでインターバンクディーラー業務に従事。 株式会社FXプライムbyGMO チーフストラテジストとして、長年培ってきた経験を生かし、インターネット上のコンテンツや、ラジオ、セミナーを通じて正しいFXの知識や、FXの魅力を広める為の活動を行う。 NPO法人日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト