FXコラム

リーズ&ラグズ

【著者】

:毎月5、10日において、輸入業者は決済の関係で外貨取引が増えますが、外貨に影響を及ぼす株価がいい状態でなかった場合は、次の日に取引を延期したりしているのでしょうか。

外貨建て取引をしている輸出業者の場合、外貨の換金の時期は一般に決まった時期に行われるのでしょうか。

取引には中国株の動向も関係するので、10時半まで待って取引をおこした方がいいのでしょうか。

:輸入業者の支払先は海外企業(親会社が日本を含む)ですので、本当に五、十日に支払いのための外貨調達を行っているか不明です。仮に先方の海外企業が五、十日を望むならば、スポットでの手当は2営業日前の3日、8日に外貨買いが出ることになります。

こちらの帳簿上の理由ならば、5日、10日に出るでしょうが、その際には、次の日に取引を延期することはないと思います。

私が昔、直接に聞いた最大手の輸出企業からは、10日毎に外貨が入ってくるので、10日毎に外貨売り、円買いを行っていると伺いました。相場観を反映する部分は限られています。

もっとも、ある程度の相場観を反映した為替ヘッジは以前から広く行われていて、リーズ&ラグズ(leads and lags)と呼ばれています。オプションを使っても実体は同じです。リーズとは早めること、ラグズとは遅らせることです。輸入は支払いなので、ラグズは難しく、先に外貨が上がると見込まれると、リーズで早めに手当てします。以前、航空会社が随分先の支払いまで手当てしてしまい、膨大な為替差損が問題になったことがあったと記憶しています。

先の手当は、通常、金利差を反映したフォーワード・レートを使います。例えば、円との金利差が2%高く、スポット・レートが100円だと、1年後には2%の金利差を反映して98円で外貨が買えます。これは1年後の先渡しで相対で売り約定した銀行が、その外貨をスポットで買い手当てすれば2%の金利が取れるためで、フォーワード・レートは当事者のどちらにも損得が出ないように、価格で調整されるようになっているからです。

参照図:
矢口さん

この期間のレートをスワップ・レートと呼び、金利差は日々の単位で価格調整されています。外為銀行は、専任のスワップ・ディーラーを置いていて、不当な価格差を収益源としていますので、結果的に非常に公正な市場が出来上がっているのです。スワップ・ディーラーは、相場観を反映した取引も行いますが、それはまた別の機会に述べます。

これはFXのスワップポイントにも反映されます。つまり、金利差2%ですと、半年後のレートは1%下がる99円となります。1日後は200銭÷360(日)です。週末は3日分なので、200銭÷360X3=1.67銭、つまり、100円が99円98銭33となります。

このように、低金利通貨を先渡しで高金利通貨に換えると、何となく得した気分になります。以前の航空会社の失敗はこういうところにもあったと思います。

輸出入のような実需は、希望価格のより近くで為替手当したい場合も多く、オーダーを置くことが多いといえます。中国株の動向のように不安定要因があり、大きくレートが振れてくれれば、一瞬でも希望価格に届くことがあるからです。

個人の方がFXトレードを行う場合は、大動きが予想される前にはポジションを閉じ、ある程度落ち着いてから再開されるのが安全だと思います。

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矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。