FXコラム

アジア通貨危機の教訓 ー下ー

【著者】

外国為替市場コラム|2014/04/08

アジア通貨危機の教訓 ー上ー
https://fx.minkabu.jp/hikaku/fxbeginner/lessons-of-the-asian-currency-crisis/

1997年7月、タイ・バーツが変動相場制の採用に移行。タイ・バーツは一時、4分の1ほどに売り込まれ、通貨の暴落はインドネシア、韓国など、他のアジア諸国にも波及した。それまでタイ・バーツなどを保有し、高金利を享受していた投資家、投機家たちも一斉にアジア通貨を売った。これが、アジア通貨危機だ。

このコラムを読んで下さっている方々には、どこかにデジャブ(既視感)がないだろうか? 

ーーージョージ・ソロスの名前を一般の方々にも有名にした「ポンド危機」は、キャリートレードの巻き戻しだ。イギリスはEMSに1990年から参加したが、実需を反映してポンドには売り圧力がかかり、対独マルクで2.25%安の下限に近付いていた。英当局は買い支え、高金利のためにソロスなどのヘッジファンドや、米系証券、銀行なども大きくポンドロングを抱えていた。

例えれば、英当局から金利報酬を貰って、共に神輿を担いでいたが、重すぎたので、真っ先に神輿の上に飛び乗ったのがソロスだった。他のヘッジファンドや、米証券も後に続いた。英当局は神輿の下敷きとなり、EMSからの離脱を余儀なくされた。1992年9月のことだった。ーーー

参照:キャリートレード、その1
https://fx.minkabu.jp/hikaku/fxbeginner/carry-trade/

固定相場制の問題点は、経済のファンダメンタルズの違う2国が、事実上同じ為替レートを維持するために、様々に無理な操作を行う必要があることだ。

米ドルが下落している間は問題が表面化しなかった。
通貨安が引き起こすインフレは、高金利により抑えられた。また、高金利で大量の外貨が流入したため、ファイナンスも容易となった。通常は高いファイナンス金利は経済を圧迫するが、通貨安がそれ以上の恩恵を与え続けることができた。

しかし、米ドルは米国の事情で上昇した。
日本の事情による円売り介入はドルの上昇を加速させた。通貨高による輸出の急減、景気の悪化は、高金利負担に耐えきれなくなる時期が迫っていることを示唆していたのだ。

矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。