FXコラム

ドル円と日本株の連動性

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FXコラム|2014/04/17

金融市場でドル円と日本株の連動性が薄れ始めたとの見方がある。株高=円安、株安=円高の定石が崩れ始めたというのだ。特に株安でも、円高にならないケースが目立つようになってきた。

連動性が薄れた大きな要因1つは、円キャリートレードでリスク資産を持つヘッジファンドの動向がある。リスク資産には日本株も含まれているが、日銀の追加緩和への期待がはぐらかされ続け、アベノミクスの第3の矢が進展しないことから、日本株が膠着状態から抜け出す目処が立たないでいる。そのため、株式市場では海外投資家の取引が減り、最近は日本株の売買代金が2兆円を下回る日も増えてきた。一方、シカゴ筋の円売り持ち高は、昨年末のネット1兆4400億円ほどの売り越しから、直近は8700億円ほどの売り越しにまで減少している。

2014年1-3月期のヘッジファンドの平均パフォーマンスは、リーマンショック以降で最悪となった。ヘッジファンドの運用手法と聞けば、なにやら洗練されたものと思うかも知れないが、小さな価格の歪みを取りに行く裁定取引や、オプションがらみのトレードを除けば、大半が相関関係、連動性を取りに行くものだ。簡単に言えば、株高=円安、株安=円高の定石通りに、「株高だ、それ円を売れ」といった単純なものだ。それでも使う金額が大きいので、その通りに動くことも多い。

もともと、ドル円と日本株とが連動して動く必然性はない。それでも、円安による企業収益の向上期待などで、円安が株高に繋がるのは分かる。しかし、株高が円安に繋がることや、株安で円が買われる理由は乏しい。仮にあっても、毎日の動きで連動する必然性はない。

毎日、連動するということ自体が、キャリートレードの動向を含む、投機筋の存在を象徴している。しかし、投機筋は市場に流動性を与えるだけで、中長期の上げ下げのトレンドには関与できない。買ったものは、必ず売り戻すからだ。

ドル円と日本株とが急騰してから約1年が経つ。共に年末年始に高値を更新こそしたが、概ね横這っていると言える。投機筋には辛い展開だが、投機筋のポジションがこなれるにはこういう期間があった方がいい。その間にも貿易赤字は定着し、着実に円売り実需が増えている。また、日米当局の大量の資金供給は続いている。ドル円、日本株共に、上放れする時期が近づいている。

[GMO]

矢口 新

矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。