損小利大の難しさ

【著者】

FXコラム|2014/08/11

私がトレーディングを始めたのは、外為インターバンク市場のブローカーになって2年ほど経った頃だ。ブローカーとは、取引を仲立ちする人たちで、通常は自己のポジションを持たない。トレーディングではなく、ブローキングに徹するのだ。ところが、外為インターバンク市場で唱えられるレートは、インディケーションではなく、ファームレートで、常に実際に売買可能だ。そこで、売り手の銀行が1行なのに、買い手が殺到したりすると、ブローカーが残りの売り手の役割を務めさせられることになる。スタッフと呼ぶ。

英系の為替ブローカーに入社後、1年半ほど経った頃、シンガポールと香港で3カ月余り研修させて貰い、帰国後にポンド・米ドル取引の毎日何件もあるスタッフの処理を行うことになった。自分の意志でなく、持った時点ではほぼ確実に評価損がでているポジションを、その日のうちに損を出さず(損を最小)に処理するトレーディングだ。細かな値の付き方ばかりを見つめていた。鍛えられた。

価格が思惑とは違う方向に進み始めたなら、損切りするのが基本だ。細かな損はたくさん出る。そして、その損をコストと見なし、コストを上回る利益を追求するのが、いわゆる「損小利大」のトレーディングだ。

その後、日本の証券会社で債券のディーラーとなり、金融機関相手に値を建てたり、積極的に収益を追求するトレーディングを行った。懐が大きいと、余裕を持ったトレーディングができる。その効果は絶大だった。

損小利大の難しさは、余裕のなさだ。少しでも逆に行くと損切りを考え、また、大勝ちした成功体験を繰り返そうとし、小さな利益を軽んずるようになる。結果的に、大損はないが儲けも少ないという時期が長くなり、時々大儲けするような、いびつなPLとなる。

今の私の運用方法は、資金配分して銘柄を分散し、入れ替えという形で、より買いたい銘柄があれば、小さな利益でも、あるいは損失でも入れ替えている。そうすることで、小さな利益が積み重なるようになり、かえってPLが安定するようになった。

全く別の事業だが、似たような話を読んだので参照としてご紹介する。

(以下、引用)
「ガリバーを設立する前、中古車販売を手掛けていたときは、売れるまで在庫を抱えて、しかも投げ売りはしないというやり方をとっていました。でもそうすると、それこそ半年、1年も在庫を抱えることになって、資金が固定化されてしまう。しかも、中古車は時間がたてばたつほど、どんどん値段が下がっていきます。そんなことをしていてはだめだと、ガリバーでは、資金の回転を速くするため1週間から2週間のうちに売り切ることを基本にしました。」

参照:あきらめなければ、夢をつかむことができる
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20140731/269474/?P=1

それで安定した収益が達成されるようになったそうだ。

みんなの株式に掲載されている矢口氏のコラムご覧ください
http://money.minkabu.jp/author/auth_yaguchi
最新記事:2014/8/11 「JPX日経インデックス400、31銘柄を入れ替え」
http:/money.minkabu.jp/46247

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デモトレ大会6回戦

矢口 新

独自テクニカルで『相場のタイミングを捉える』 矢口 新

大学卒業後、国内外の大手証券会社にて為替、債券のディーラー、機関投資家セールスを勤めた後、株式会社ディーラーズ・ウェブを創業(2002年5月~2013年5月)。2013年4月まで同社代表取締役社長。