米FOMC議事録は全般に「タカ派」的。イールドカーブ、「緩和的」文言削除、中立水準について議論も

【相場材料】米金融政策
【影響】緩やかな利上げ継続は米ドルのサポート要因
【ポイント1】景気や物価については楽観的な見方
【ポイント2】イールドカーブ逆転への懸念は後退
【ポイント3】「緩和的」文言削除は利上げ方針の変更にあらず
【ポイント4】中立水準を超えた利上げが必要になる可能性も

9月25-26日に開催された米FOMCの議事録が公表されました。景気や物価については従来以上に楽観的な見方が示され、緩やかな利上げの継続を示唆する内容でした。

また、イールドカーブ逆転の可能性、「緩和的」文言削除政策金利の中立水準への接近など、利上げの打ち止めにつながる可能性のある要因について、利上げの継続を制限するものではないとの見解が示されました。

議事録の公表を受けて、長期金利は上昇、米ドルも堅調となりましたが、概ね妥当な反応だったと言えそうです。

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議事録によれば、景気について楽観的な見方が多く、数人の参加者は今年前半時点で予想していたよりも景気は強いと判断しました。

労働市場のひっ迫が続くなかでも、賃金の伸びは鈍いとの認識が示されました。ただし、強い需要や関税によってコストが上昇しており、それを製品価格に転嫁できるようになるなどインフレ圧力は強まっているとの指摘もありました。

先行きについては、通商政策が不透明であり、米ドル高新興国市場の動揺景気の下振れリスクとして指摘されました。

一方で、高い消費者信頼感、株高など良好な金融環境、トランプ減税などの財政刺激景気の上振れリスクとして指摘されました。

イールドカーブについて

イールドカーブ(利回り曲線)のフラット化が進んで、(長短金利が)逆転するようなら、歴史的には景気後退が起こるケースが多かったと指摘されました。ただし、足もとでは、中央銀行による国債購入の影響などからイールドカーブがフラット化しやすくなっており、イールドカーブの変化が信頼性を失いつつあるとの指摘がありました。

また、最近の長期金利の上昇によって、イールドカーブが逆転する可能性自体が低下しているとの指摘もありました。

「緩和的」文言削除について

今回から「(利上げ後も)金融政策は引き続き緩和的」との文言が削除されました。これについて、政策金利の中立水準まではまだ遠いとみなせるので、利上げを継続することと矛盾しないとされました。それでも早めに文言を削除するのは、高い精度で中立水準を判定することが難しいからとのことでした。

今後どれだけの利上げが必要か

最大雇用と2%インフレを達成するために、多くの参加者は政策金利が中立水準を一時的に上回る必要があると判断しました。

一方で、景気過熱やインフレ高進の明確なサインがみられないので、そこまでの金融引締めは望ましくないと考える参加者は2-3人しかいませんでした。

また、この点について、政策金利の中立水準は金融政策の判断における多くの要因のうちの一つに過ぎないというのが参加者のほぼ一致した見解でした。

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西田 明弘 マネースクエア 市場調査部 チーフエコノミスト

西田明弘

1984年、日興リサーチセンターに入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを経て、三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテジストを歴任。 2012年9月、マネースクエア入社。市場調査部チーフアナリストに就任。現在、M2JのWEBサイトで「市場調査部レポート」、「スポットコメント」、「今月の特集」など多数のレポートを配信。